金沢・片町商店街がメモリアルブック刊行-115年間の思い出を1冊に

公募作品などを収めた「片町メモリアルブック」

公募作品などを収めた「片町メモリアルブック」

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 片町商店街振興組合(金沢市片町2、TEL 076-232-0630)は昨年12月20日、3年がかりの事業の集大成として、同商店街115年の思い出を集めた「片町メモリアルブック」を発刊した。

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 1894(明治27)年から1895(明治28)年にかけて「片町組合」が結成され、日本一の歴史を持つ同商店街では、2006年度より同商店街を訪れた人々の思い出を「街の宝」として募集してきた。同年度に「片町メモリアルフォト」と題して写真を募集したところ、大正時代から現代までの同商店街をとらえた565点が集まり、うち48点が入賞。2007年度には片町のキャッチコピーとエッセーを募り、コピー850作品、エッセー86作品が寄せられた。入賞コピー作品は2006年度の入賞写真とともに街路灯フラッグとして同商店街に彩りを添えたほか、テレビCMでも公開された。

 「片町メモリアルブック」は各入賞作品を紹介するほか、招待エッセー、対談、同商店街の活動や沿革を掲載する。長い歴史があるうえに金沢随一の繁華街として知られ、昼の顔・夜の顔の両面を持つ同商店街だけに、応募者は10~80代と幅広く、金沢在住者のほか、学生時代を金沢で過ごした人、転勤で金沢に滞在経験のある人、旅行で金沢を訪れた人など、県外からの作品も多く寄せられた。

 招待エッセーでは、詩人の高橋睦郎さん、老舗酒蔵「福光屋」8代目の福光松太郎さん、陶芸家の大樋年雄さん、ピールアートの第一人者で片町の高級クラブに勤務経験のある才田春光さんの、片町にゆかりの深い4人が同商店街への思いをつづっている。文豪・室生犀星の孫で室生犀星記念館名誉館長の室生洲々子さんと同組合の小間井隆幸理事長の対談も掲載。老舗の各世代が並んだ家族写真や、青年部が中心となって約20年前から実施している清掃活動をベースにした新しいプロジェクトの様子も収める。

 同書は、幼い日の買い物での出来事や学生時代の淡い恋心、恋人や伴侶との出会いやデートのエピソード、ほろ苦い思い出、人の温かさにふれた瞬間などが詰まった1冊に仕上がり、悲喜こもごもの人間模様が交錯する同商店街の姿を文章と写真で描き出している。

 同組合事務局長の橋本亜矢子さんは「改めて商店街の沿革を調べると、近代化はほかの商店街より常に半歩前を進んでいた。昭和6年には片町の応援歌を公募してレコード盤を制作しており、80年前にも今の事業と同じような活動を展開していたことが分かった。商店街の人々が街に思いを込め、このような結束力をもって活動を続けてきたことが後世に受け継がれている」と振り返る。

 橋本さんはさらに、「年齢層も住んでいる場所もさまざまな人々の思い出が片町に詰まっていることが分かった。片町は出会いの街。これからも、ここに来れば新しい発見があるという街であり続けたい」と続け、「この事業を通して、商店街全体の結束力が固まったと思う。今一度原点に戻り、金沢を担う繁華街の代表として恥ずかしくない街になるようにして後につなげ、片町に集う人々のさらなる思い出づくりを提供していきたい」と話す。

 メモリアルブックの仕様はA5判128ページ(カラー96ページ)。3,000冊を発行し、各店舗に設置するほか、同商店街のPR活動に活用する。

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