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金沢・ひがし茶屋街で伝統工芸士の小林さんが展示会 輪島塗の魅力伝えたい

輪島塗の伝統工芸士、小林栄一さん

輪島塗の伝統工芸士、小林栄一さん

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 輪島塗の伝統工芸士・小林栄一さんの展示販売会が9月21日から23日の3日間、ひがし茶屋街にある甘味処(どころ)「多華味屋」(金沢市観音町1)で開かれた。

展示された輪島塗

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 輪島塗は国指定重要無形文化財で、日本を代表する漆器の一つ。工程ごとに専門の職人が担当する分業制で、「木地師」「塗り師」「研ぎ師」「呂色師」「蒔絵(まきえ)師」「沈金師」の大きく6つに分かれた124の工程を経て製造される。天然木の木地に、輪島塗特有の珪(けい)藻土「地の粉」を使った下地付けなど、塗り重ねる工程をいくつも経ることで、丈夫さと耐久性を備えた器となる。

 小林さんは15歳から塗り師として輪島塗の製造を手がけてきた。展示会では、1月の能登半島地震で損壊を免れた作品や知人の職人から預かった皿やぐい飲みなど50点余りをそろえた。輪島塗に親しんでもらおうと、小林さんの長女・恵美さんが、リボン形の箸置きをアクセサリーにアレンジした商品も用意。完成までの作業工程を紹介するサンプル品の展示も行った。

 栄一さんは震災で、輪島市にある自宅が半壊し、現在は仮設住宅で暮らしている。震災以降、塗り師としての仕事はできておらず、手元に残る作品を販売。慣れない販売業務はかほく市に住む恵美さんと友人がパンフレットを作るとともにインスタグラムを開設するなどしてサポートしてきた。輪島市にできた仮設工房で、ようやく仕事を再開しようとしていた矢先の21日には線状降水帯による大雨に襲われた。栄一さんの仮設住宅がある地区は浸水を免れたものの、今回の展示会の間も心配で、輪島市と金沢市を行き来したという。

 栄一さんは「輪島は震災に続き、水害で皆が大変な思いをしている。復興への道のりは遠いが、塗り師の仕事には依頼が入り始めている。分業して製造できることも輪島塗の強み。仮設工房で製造しながら、展示会も引き続き行っていきたい。少しでも多くの人に手に取ってもらうことで輪島塗の魅力を知ってもらいたい」と意気込む。

 次回は11月2日~4日。

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