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金沢21美が全面再開 能登半島地震では展示室のガラス天井など破損

天井がむき出しのまま再開した展示室

天井がむき出しのまま再開した展示室

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 金沢21世紀美術館(金沢市広坂1)が6月22日、能登半島地震での被災で一部休場していたエリアを含め、全面的に営業を再開した。

約6カ月ぶりに全面再開を果たした金沢21世紀美術館

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 1月1日に発生した能登半島地震では、展示室内の天井ガラス約70枚が破損。開催中だった展覧会は中止を余儀なくされた。天井ガラス約800枚を撤去する工事のために14の展示室と長期インスタレーションルームを休場したまま、市民ギャラリーなどを2月6日から再開させていた。

 天井ガラスを撤去し終えた展示室と長期インスタレーションルームは、天井下地や照明器具が露出した状態で展示を再開し、展示内容によっては白い布の幕を設置するなどして対応するという。新たな天井の設置については、10月に20周年を迎える同館自体の経年劣化が進んでいるため、金沢市が今後の大規模修繕工事の計画で検討していく。

 半年ぶりの全面再開に合わせて、同美術館は展覧会を開催。企画展「Lines- 意識を流れに合わせる」では、国内外の作家16組が35点を出展した。作品を考える過程で起きた地震によって「自分に何ができるか迷った」という大巻伸嗣さんは、天井がむき出しとなった展示室の中心に世界の大陸をイメージして置いた円盤の上を回転する振り子に能登半島とつながる大和堆の地形を刻んだ新作「Plateau 2024」を展示した。入場料は、大人=1,200円、大学生=800円、小中高生=400円。10月14日まで。

 「コレクション展1」では20組の作家が68点を出展。輪島市の漆芸工房「雲龍庵」北村辰夫さんの「更紗(さらさ)蒔絵(まきえ)十字架」「蛍(ほたる)蒔絵聖卵」、金沢美術工芸大学学長で漆芸作家の山村慎哉さんの「work」シリーズ、人間国宝の寺井直次さんの「冨貴草蒔絵平棗(なつめ)」など県内作家の作品も展示する。入場料は、大人=450円、大学生=310円、小中高生=無料。9月29日まで。

 長谷川祐子館長は「メインギャラリーを6カ月間も閉館するのは、利用する予定の人を思うと残念で悲しかった。一方でたくさんの応援メッセージなども受け取り、美術館としてどんなことができるかを考える中で、レジリアンス(回復力)という言葉が私たちの中に現れてきた。展示室の閉館中も利用可能なエリアを使ってポップ・アップ・アート展などを行った。秋には開館20周年記念のコレクション展も予定している。展示やプログラムなどを通してメッセージを発信し、市民や来館者からフィードバックをもらって、これからどのように展開していけるのか考えていきたい」と話す。

 開館時間は10時~18時(金曜・土曜は20時まで)。月曜休館。

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