令和6年能登半島地震で被災した日本酒酒蔵の復興支援プロジェクト「能登の酒を止めるな!」の日本酒発表会が6月7日、金沢21世紀美術館(金沢市広坂)で行われた。
酒造会社「吉田酒造店」(石川県白山市)と、日本酒文化を世界に広める事業を展開する「camo」(東京都世田谷区)が中心となり、クラウドファンディングで資金調達しながら進めている同プロジェクトでは、能登半島地震で被災した酒蔵5蔵と、日本全国の協力酒蔵5蔵(群馬県、石川県、福井県、広島県、長崎県)をマッチングし、被災蔵が協力酒蔵へ出向いて日本酒を醸造。この日は、「被災蔵のオリジナルレシピに基づき醸造した日本酒」「2蔵でコラボ開発した日本酒」の2種類を発表した。価格は、720ミリリットル入り2本セット=4,400円。
このほか、プロジェクトにより完成した計10種類の日本酒はクラウドファンディングの返礼品として活用するほか、6月10日から石川県内外の酒店などで販売を行っている。
プロジェクトリーダーを務める吉田酒造店社長の吉田泰之さんは「まず考えたのはすっと懐に入ってくるような優しい味の能登の酒を絶対になくしてはいけないということ。次に重要なのは、銘柄が一度市場から消えてしまうと、蔵が復活しても商品の陳列棚や飲食店のメニューに戻ることが難しいため、絶対に流通を止めないこと。最後に、お金の循環を止めないでキャッシュフローをしっかり回して蔵を再建すること。以上3つを目的に『能登の酒を止めるな!』を合言葉にプロジェクトを進めている」と話す。
第2回マッチングプロジェクトのクラウドファンディングは6月7日から始め、現在支援者を募集している。両回に参加している、被災した鶴野酒造店(石川県能登町)14代目社長の鶴野晋太郎さんは「お酒を造れるだけでも大変ありがたい上に、他県の蔵に入って現場を見せてもらえるという素晴らしい技術交流の場にもなっている。オリジナルレシピの酒、コラボレーションの酒を楽しみにしてほしい」と話す。