能登復興建築人会議が主催するフォーラム「みんなで築く復興」が4月28日、金沢21世紀美術館(金沢市広坂)シアター21で行われた。
フォーラムの講演で東京大学教授の大月敏雄さんは、関東大震災の復興事業で住宅だけでなく福祉施設や浴場、工場などが計画に組み込まれた事例などを紹介。「人は家にだけ住むわけではなく、まちに住んでいる」として、住宅再建だけではなくまち全体の復興を考えた先人たちから学ぶことは多いと話す。東日本大震災の復興支援では、仮設住宅を並べて建てるだけでなくサポートセンターやケアゾーンと呼ばれる高齢者を見守る工夫があるまちづくりや、衣食住だけでなく「医職住」をサポートしたり、コミュニティー内のコミュニケーションを促進したりするなどの仕組みの提案が採用されたという。大月さんは「このようなことを実現させるには行政と業者の間に地元の意見を入れることが必要。当会議でも建築設計支援のかたちで住民の声を聞き取り、プロポーザルの要綱にその思いを埋め込むことができるのでは」と話した。
大月さんを含めたパネルディスカッションでは「能登では住む場所と仕事場が同じという家が多く、生活となりわいが同時に被害を受けてしまったことが特徴で、住宅再建だけの話ではない」「建築関連の専門性を横通した医師団のようなチームが住民の声を聞き、課題として対応することができないだろうか」などの意見が出された。
同会議メンバーによる能登での活動報告では、瓦屋根だから倒壊したという言説を検証する現地調査を行い黒瓦がつくる景観を残そうとする活動や、珠洲市真浦町で住民の未来ビジョンをつくって復興計画に生かす「現代集落プロジェクト」、輪島市観音町で飲食店のにぎわいを取り戻す「復興横丁プロジェクト」などの情報共有があった。