能登半島地震後、休業していた珠洲市宝立町のカフェ「natural cafe minanto」が、金沢市小橋町の冷食専門店「ニクオサーカス」で間借り営業を始めた。
ランチメニューは、「自家製有機ケチャップのオムライス」(1,580円)と「雑穀米と旬野菜のミルフィーユキッシュプレート」(1,850円)で、サラダとドリンクが付く。オムライスは、数種のキノコをふんだんに入れたバターライスを、化学肥料を与えていない親鶏の卵で包み、有機トマトを長時間煮詰めた自家製ソースをかける。カフェタイムには、オリジナルブレンドのコーヒーや、自家製ビネガー、焼き菓子なども提供する。
「natural cafe minanto」は、珠洲市内の旧鵜飼駅舎跡をリノベーションしたカフェで、旬の地物や野菜を使ったメニューが地元や観光客に人気だった。店主の影田奈央子さんは震災当日、店で仕込みをしていた。大きな揺れが2分近く続き、影田さんは「全てがめちゃくちゃになった」と振り返る。電気、水道も止まり、しばらく車中生活をしていたという。避難先の金沢で、知人から、「ニクオサーカス」のオーナー中谷恭子さんを紹介してもらい、間借り営業にこぎ着けた。店内には、ドライフラワーやアレンジメントなどの装飾もあり、元の店の雰囲気と似ており、「わが子に毎日食べさせたい冷凍総菜」というコンセプトにも共感したという。
影田さんは「珠洲の避難者の方が来てくれて再会を喜んだり、以前珠洲の店に来てくれていた方が来てくれたりしている。珠洲と金沢を往復しているので、営業日は少ないが、こうして店を開けられるのはうれしい」と話す。元の店がある地域はいまだに電気が通じていない。震災の被害を免れた食器などは、持ってきて使っている。
影田さんは「人とのつながりの大切さを実感している。場所を提供してくれた中谷さんにも感謝している。避難所や周囲の人たちには、笑顔があり、自分たちも大変なのに、炊き出しや消防団で動いてくれている。人とのつながりが、人を強くしてくれるのだと感じている」と話す。
月曜・火曜のみ営業。営業時間は、昼食=11時~14時、カフェ=15時~18時。