金沢の伝統的な染め物は、川とどのような関係にあったのかを学ぶイベント「『工芸と川のつながり』~金沢の老舗染物店で学ぶ~」が12月16日、平木屋(金沢市片町2)で行われた。主催は認定NPO法人趣都金澤のメンバーを中心にした金沢21世紀工芸祭実行委員会。
同店は加賀藩御用達だったという染め物店。片町の繁華街裏通りにある金沢市指定文化財の町家を工房としている。同店7代目の平木有二さんは金沢美術工芸大学を卒業後、文化財の修復などを手がける京都の染色家 吉岡幸雄さんの工房で染料に関する化学的知識を学んでから家業を引き継いだ。近年は手染めする染め物店が減ってきているため、神社仏閣など手染めを重視する客からの依頼があるという。
平木さんは「用水の多い金沢で染め物店は、のり落としのために用水沿いに工房を構えていた。平木屋が使っていた大野庄用水は犀川の取水口にも近く、昔は水門の管理も任せられていた」と話す。
金沢における染め物の歴史を解説した金沢卯辰山工芸工房館長の川本敦久さんは「加賀藩の軍旗などに使うアカネを染めていた茜(あかね)屋のあった鞍月(くらつき)用水には茜屋橋として名前が残るほど染め物店と用水の関わりは深い。加賀友禅というのは昭和になってから百貨店が付けた呼び名で、本来は加賀染めと呼んでいた。平木屋はその染めのルーツを残している希少な染め物店」と話した。
併せて当日は、8代目の平木良尚さん指導の下、型紙を使って柿渋で布に模様をつける染め物体験のワークショップを参加者全員で行った。