建設現場を舞台にした映画「くもりのち晴れ」が現在、「金沢シネモンド」(金沢市香林坊)で上映されている。
福井県出身の片山享さんが監督を務める同作品は、挫折を経験した元駅伝選手の主人公が建設現場に就職し、その心の傷と葛藤しながら新たな未来を切り開いていく物語。主人公の山口昇役を演じるのは「佐々木、イン、マイマイン」に出演した細川岳さん。長野こうへいさん、安楽涼さん、塚原大助さんなど舞台や映画で実績のある俳優陣が脇を固める。
高校時代、駅伝の大会でたすきを途切れさせた昇は、社会人になった今も「もう止まりたくない」と強い思いを抱えながら、建設現場で職人として働く。3Kと呼ばれる環境で、「『建てる』ことは、駅伝と同じく次の工程へとたすきをつなぐこと」であること、思い出したくない過去があるからこそ、負けずに前を向いて歩む姿が描かれている。撮影はオール福井県内ロケで行われた。
企画・製作した建物内外装工事、建築卸の「タッセイ」(福井市)の田中陽介社長自身も俳優として活動経験があり、片山監督とは同郷で2017(平成29)年の福井駅前短編映画祭で出会った。その後、同監督の初長編映画「轟音(ごうおん)」に出演するなどで親交が深まったという。
金沢上映の初日には舞台あいさつが行われ、ほぼ満席の盛況となった。片山監督は「職人の声を聞き、『建てる』ことの温かさを映画にしたかった」とコメントを寄せ、田中さんは「監督の作品は暗い場所に一筋の光を当てるような表現が特徴。建設現場のリアルな世界が描かれた」と話す。
上映時間は18時30分~。料金は1,500円(高校生以下無料)。3月25日まで。