金属工芸の幅広い魅力を紹介する「Metal-works 奥深き金属工芸」が現在、兼六園小立野入り口横の「いしかわ生活工芸ミュージアム」(金沢市兼六町、TEL 076-262-2020)で開かれている。
【VRで読む】兼六園横、いしかわ生活工芸ミュージアムで金属工芸展
石川県のまん延防止等重点措置の解除を受け、約1カ月ぶりの再開となった同館。無料ゾーンのギャラリーでは、昨年度の石川県デザインセンター選定商品を一堂に集めた「きもちとかたち」展も同時開催している。山中漆器や九谷焼などのほか、フラッシュ光に反応して模様が現れる「光るマスク」や、海岸で回収されたプラスチックごみを加工して作ったアクセサリーなど100点余りの作品が並び、購入もできる。
2階の企画展示室では、素材や加工の方法で全く異なる表情を見せる金属の奥深さを紹介。藩政時代に制作された武具や馬具など加賀象嵌(ぞうがん)の歴史を紹介するほか、人間国宝・中川衛さんの作品や6人の若手作家による作品など69点を展示している。
作家の一人・薮内公美さんは、繰り返したたいて形を作る「鍛金(たんきん)」の技法を用い、壁にかけることができるオブジェを制作。無数に開けられた穴にカラフルな糸を通して華やかに装飾し、金属との対比を楽しめる作品に仕上げた。
同じく古田航也さんは、江戸から明治期に作られていた「自在置物」を現代的に解釈した動物や昆虫などの作品を制作。カマキリは、金属を腐食させてから用いることで鮮やかな緑色にした。細かいパーツを組み合わせ、関節を本物のように動かせる精巧な作りが特徴で、毛の風合いまで丁寧に表現されている。
広報担当の弓場麻衣さんは「金属は昔から生活に欠かせない存在であり、さまざまな技法が生み出されてきた。表情豊かな金属の魅力と奥深さを感じてほしい」と話す。
会期を8月23日まで延長している。開館時間は9~17時。毎月第3木曜休。2階のみ有料で、料金は、一般=260円、65歳以上=210円、17歳以下=100円。