金沢の新しい文化発信を目指す「kanazaWAZA(かなざわざ)研究所」が3月23日、金沢城公園(金沢市丸の内1)の鼠多門(ねずみたもん)でAR(拡張現実)技術を使ったアートイベントを始めた。
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特別なアプリなどをダウンロードしなくても、インスタグラムのアカウントがあれば、簡単にARを楽しめるのが特徴。スマートフォンを鼠多門にかざすと、琴の響きとともに、桜吹雪や雲などが画面に現れる仕組み。3歳の珠姫が江戸から金沢に入城する心情を描いたといい、加賀友禅の文様や書なども取り入れ、和とデジタルが融合した空間を体験できる。画面に映り込み、そのまま静止画や動画をインスタグラムに投稿することも可能。使い方を説明したチラシは、金沢中央観光案内所やしいのき迎賓館などで配布している。
同団体は、金沢在住のクリエーターなどが参加するグループで、地域の歴史や文化をエンターテインメントに昇華させたいと、3年前から活動を開始。伝統工芸の作家や、歴史家など20人ほどのさまざまなメンバーが自分の得意な分野を担当しながら企画を練り、構想から2年をかけイベントの実施に至ったという。
本展となるインスタレーション・アート展「珠姫の物語」(前売り一般=1,200円、小学生=600円)は、4月8日から11日まで、金沢21世紀美術館シアター21で開催。4種類のAR体験ができるほか、立体作品の展示なども行われる。
代表の澤田雅美さんは「ARはその場所で体験するという楽しさであり、自分がその物語の主人公にもなれる。今後も新しい視点で文化をつなぎ、金沢の街全体がアートのテーマパークになるような活動をしていきたい」と話す。
鼠多門での体験時間は10時~21時。今月28日まで。