金沢能楽会(金沢市石引4、TEL 076-255-0075)は、3月より休止していた公演を7月5日に再開、会場の石川県立能楽堂は久しぶりに観客でにぎわった。
(画像リンク) 【VRで読む】金沢能楽会が3ヶ月ぶりに公演再開、演目の動画配信も
金沢は加賀藩の保護もあり「加賀宝生」といわれるまでに能楽が盛んに行われてきた地域。1901(明治34)年に設立した金沢能楽会は、これまで1100回以上の定例能を行ってきたほか、気軽に楽しめる公演や体験講座などにも力を入れ、能楽の継承活動に力を入れている。
愛好会の会員数や賛助会員も増加し、今年に入って定例能は満席が続き、学生など若い世代の客も目立っていたという。3月からの公演中止を受け、4月に開催予定だった「別会能」の演目の一部を無観客で撮影しユーチューブで配信したところ、激励と開催を心待ちにするメッセージも寄せられたという。別の演目についてもいしかわ県民文化振興基金や石川県芸術文化協会のホームページで今月中の公開が決まっており、能楽を知らない新たな層にも浸透を図り、能楽堂に足を運んでもらうきっかけにつなげる。
久しぶりの公演では座席数を400席から160席に減らし、消毒などを徹底するほか、舞台にもアクリル板を設置するなど感染対策を整えての開催となった。今後も引き続き対策を講じ、「観能の夕べ」など一般向けの公演の解説や体験は中止し、縮小して行う。
金沢能楽会専務理事の島村明宏さんは「さまざまな制約はあるが、公演できるというのが何よりうれしい。来年は創立120周年という節目の年。動画の配信などにもチャレンジするなど、今後も伝統を受け継ぎながら後世に伝える活動を続けていきたい」と話す。
定例能は、当面愛好会会員の予約が優先となるが、空席があれば当日でも鑑賞可能(当日券一般3,000円、30歳以下1,000円、中学生以下無料)。7月18日から8月末まで、毎週土曜17時より「観能の夕べ」も開催される(一般1,000円、高校生以下無料、8月22日の特別公演のみ3,000円)。