建築・都市についてのミュージアム「谷口吉郎・吉生記念金沢建築館」(金沢市寺町5、TEL 076-247-3031)が金沢・寺町にオープンして1カ月半がたった。
【VRで読む】金沢・寺町にオープンした「谷口吉郎・吉生記念金沢建築館」
谷口吉郎は金沢生まれの建築家。高校卒業まで金沢で過ごし、東京帝国大学工学部建築学科に進学。「石川県美術館(現・石川県立伝統産業工芸館)」「東宮御所(現・赤坂御所)」「博物館明治村」などを手掛けた。金沢のまちづくりにも大きく貢献し、1978(昭和53)年に金沢市名誉市民第1号となった。谷口吉生さんは吉郎の長男で建築家。東京で生まれ、戦時中は金沢で過ごし、慶応義塾大学工学部機械工学科へ進学。米ハーバード大学大学院で建築を学んだ。代表作は「ニューヨーク近代美術館(MoMA)新館」「鈴木大拙館」「GINZA SIX」など。
「谷口吉郎・吉生記念金沢建築館」は、吉郎の住まい跡地に吉生さんの設計により建設。2人の建築思想を伝えるだけでなく、市民と共に建築とまちづくりについて考え、世界へ建築文化を発信する拠点を目指す。
建物は地下1階、地上2階建て。2階の常設展示室では、吉郎が設計した「迎賓館赤坂離宮和風別館」の広間と茶室を再現。広間は広い縁側、さらに外部の水庭までが一体となって広がる開放的な造り。茶室は畳席での点前の様子を椅子席で鑑賞しながらお茶を楽しむことができる独特な造りになっている(展示物のため、お茶の提供など実際の利用はできない)。
地下1階の企画展示室では、建築や都市に関わる特別展示を随時開催。来年1月19日までは開館記念特別展「清らかな意匠 金沢が育んだ建築家・谷口吉郎の世界」を行う。吉郎の主な建築作品を写真や模型などで紹介するほか、著作も取り上げて展示する。
9月4日には早くも入館者数1万人を達成した。学芸員の高巣とあ希さんは「建築というと堅苦しいイメージがあるかもしれないが、衣食住に関わるとても身近なこと。建築や都市に興味がある方はもちろんそうでない方も気軽にお越しいただければ」と話す。
開館時間は9時30分~17時(入館は16時30分まで)。月曜休館(休日の場合は翌平日)。観覧料は一般=300円、65歳以上=200円、高校生以下無料(消費税増税後に料金の改定あり)。