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金沢に「鈴木大拙館」開館-独自の「浮島」思索空間で座禅も

「水鏡の庭」の中に浮かぶ島のような「思索空間」

「水鏡の庭」の中に浮かぶ島のような「思索空間」

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 禅と日本文化を海外に紹介した金沢生まれの世界的仏教哲学者、鈴木大拙(1870~1966)の思想や足跡を紹介する記念館「鈴木大拙館」(金沢市本多町3、TEL 076-221-8011)が10月18日、金沢市内の生誕地近くに誕生した。

「水鏡の庭」の中に浮かぶ島のような「思索空間」

 設計者は日本芸術院会員の谷口吉生さん。延べ床面積は約630平方メートルで、エントランスからコンクリートむき出しの細い廊下を抜け、大拙の書などを並べる「展示空間」や、書籍を閲覧できる「学習空間」を通り、深さ14センチの人工池「水鏡の庭」の中に浮かぶ浮島のような「思索空間」へと至る「胎内くぐり」を思わせる構造が特徴。廊下の一部は屋外にあり、歩きながら外の空気を感じられる。

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 このうち、谷口さんが「一番のテーマだった」という「思索空間」は、禅宗寺院の住職が生活する四畳半の居間「方丈(ほうじょう)」をイメージした、広さ約90平方メートルの正方形の棟。天井と床、壁だけのシンプルな作りで、高さ約8メートルの天井に設置された丸型の天窓からは自然光が差し込む。四方に設けられた開口部からは、「水鏡の庭」と城の石垣に見立てた外壁、その向こうに広がる「本多の森」を一望でき、自然を感じながら畳張りの椅子に座って座禅を組むこともできる。

 「水鏡の庭」には、数秒間に一度、波紋を生み出す仕掛けも。夜にはライトアップも行われる。

 谷口さんは「完成してから何度も来ているが、夜が一番気持ちいい。壁に水が反射する」と話す。同館学芸員の猪谷聡さんは「すごくぜいたくな空間だと思う。あちこちに大拙が好んだ丸、三角、四角のデザインが隠されている」と絶賛する。

 同館は、金沢を訪れる外国人留学生にはよく知られているものの、市民にはあまりなじみがなかった大拙の考え方や歩みを広く伝える場所にしようと、金沢経済同友会から提言を受けた金沢市が約4億9,000万円をかけて建設した。

 この日は金沢歌劇座(下本多町6番丁)で開館記念式典が行われ、山野之義市長が式辞を述べ、谷口さんに感謝状を贈った。その後、一般に開放され、早くも訪れた外国人たちは「ビューティフル」とため息を漏らしている。松田章一館長は「大拙を初めて知り、ちょっと本を読んでみようという方が出てくると思う」と期待を込める。

 開館時間は9時30分~17時。月曜休館。入館料は、一般=300円、65歳以上=200円、高校生以下無料。

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