AIを軸とした新しいコラボレーション発掘のための「ZENKEI AI フォーラム」が4月17日、ITビジネスプラザ武蔵(金沢市武蔵町14)4階オープンサロン「CRIT」で開催された。
【VRで読む】ITビジネスプラザ武蔵で開催された「ZENKEI AI フォーラム」
AIを特殊な技術と敬遠して活用が進んでいない地方の現況を危機的と考え、昨年、半年間にわたりディープラーニングの実習セミナーを全景(金沢市)が開催。そのセミナーの中から、技術者ではない参加者より農業や医療での活用アイデアが生まれ、実現のための検討作業をセミナーを通して行った結果、本格的に各開発プロジェクトが始動し、一部は製品化まで行われた。今回はこれにより実際に開発されたAI製品や活動が始まったプロジェクトが紹介された。
製品化の紹介は、「ディープラーニングによる五郎島金時の等級判定を行う取り組み」の事例報告として、「ドモドモコーポレーション」(かほく市木津)の遠田幹雄さんがプロジェクトの経緯を説明。実務で利用する農業生産法人「かわに」(粟崎町)の河二利勝さんは、これまでの同システム利用の経験を報告し、開発に携わった「アイ・ツー」(広岡1)の塚本拓生さんがシステムの内部構造を紹介した。
始動したプロジェクトでは、「COM-ONE」(能美市旭台2)の米田稔さんが「写真から寄生虫の種類や皮膚障害をAIで判定する取り組み」として、実際に用いた写真の紹介とAI判定の精度について発表した。また、「金沢大学」(角間町)の山本洋准教授は、くずし字とは何かを説明し、これまで行われてきた翻刻作業について解説。そこへAIを導入して構築する「江戸時代のくずし文字をAIで解読するプロジェクト」のビジョンを語った。
同フォーラムの参加者は「システム開発に携わっているがAIは敷居が高いイメージだった。実際の取り組みを聞くことで、かなり身近に感じた。これからは積極的に関わっていきたい」と話した。
主催した全景ラボラトリー責任者の市來健吾さんは「AI分野において、技術を包み隠していては意味がない。ディープラーニングでどんなことを実現したいかを、業種の垣根を越えてアイデアを持ち寄り、試行錯誤していくべき」と強調。「これからも多方面に開かれたフォーラムを定期的に開催し、多くのプロジェクトが増えていけば」と期待を寄せた。