グラフィック・デザインの領域で国際的に知られるサイトウ・マコトさんによる国内初の大規模な個展「サイトウ・マコト展:SCENE[0]」が8月2日より、金沢21世紀美術館(金沢市広坂1、TEL 076-220-2800)で開催されている。
サイトウさんが絵画作品を発表するのは初めて。コンピューターを使った「デジタル・ペインティング」で人間のさまざまな表情を描き出しているのが特徴。
1970年代よりグラフィック・デザインに携わり、世界30以上の美術館に作品が所蔵されるなど、グラフィック・デザイナーとして確固とした地位を築いてきたサイトウさんだが、1990年代半ばよりデザイン活動の傍ら絵画の研究を始め、今回の出展作品の原型となる作品を制作し始めた。
絵画作品の対象として選んだのは、映画作家や映画のワンシーン。「制作の過程で、元の人間から離脱して自分の意思とはかけ離れた人格に変容し、そこから別の物語が生まれていくのが面白かった」(サイトウさん)というように、デジタル・ペインティングによって導き出された多様な人間像が、1枚1枚のキャンバスに映し出されている。展示作品数は約50点。
「機械的なものをアナログ的にやりたかった。コンピューターにマチエール(質感)があるかという新しい部分に挑戦し、最後はペインティングに落とし込んだ。これは第一歩だとしても、ここまでコンピューターを使ってペインティングを意識したものは世界中にないと豪語していいし、それをここ数年間で証明する自信がある」(サイトウさん)。
開催時間は10時~18時(金曜・土曜は20時まで)。月曜と9月16日、10月14日は閉場(9月15日・22日、10月13日、11月3日は開場)。11月3日まで。