金沢21世紀美術館(金沢市広坂、TEL 076-220-2800)で現在、企画展「池田学展 The Pen 凝縮の宇宙」が開催されている。
開館から14年目を迎える同館で、初の本格的な絵画展となる同展。池田さんの個展としてもこれまでで最大規模。池田さんは「このような広い空間に自分の作品がどう映るのか不安だったが、展示作業が進むうちにうれしく期待を持てた」と話す。
佐賀県出身で東京藝術大学を卒業した池田さんは、文化庁芸術家在外研修員としてカナダ・バンクーバーで活動した後、米国・ウィスコンシン州のチェゼン美術館の滞在プログラムで3年にわたり制作活動を行った。同展では池田さんの初期から最新作まで約120点を紹介する。
わずか1ミリメートルにも満たない細かなペン先から描き出す壮大な絵画は、1日に握りこぶしほどの面積しか制作することができないほど緻密なもの。独自の世界観と地道な作業により描かれる作品は、国際的にも高い評価を得ている。会場には卒業制作として細密技法を確立した「巌ノ王」、災害や環境問題をテーマとする「Meltdown」、津波を連想させるとして一時展示が控えられていたという「予兆」などメッセージ性の強い作品が並ぶ。
最新作「誕生」はチェゼン美術館の滞在制作プロジェクトで3年3カ月をかけ取り組み、昨年11月に完成した大作。3×4メートルの画面は池田さんの作品の中でも過去最大となる。池田さんは「東日本の震災がきっかけになったが、自然災害は世界中どこでも起きている。災害とどのように向き合うかと考えた。一見、華やかに見えるのはかりそめの姿で、本当の復興には多大な時間がかかる。まずは作品を見て感じてもらいたい」と話す。
開場時間は10時~18時(金曜・土曜は20時まで)。月曜休場(5月1日は開場)。入場料は、一般=1,000円・大学生と65歳以上=800円・小中高生=400円。7月9日まで。