![「奇跡の一本松」の枝を使って製作され、陸前高田市に贈呈された公印](https://images.keizai.biz/kanazawa_keizai/headline/1363150762_photo.jpg)
陸前高田市の「奇跡の一本松」の枝を用いて同市の「公印」を製作した全日本印章協会(東京都千代田区)の青年部連絡協議会が3月6日、同市役所を訪れ贈呈式が行われた。公印は、同会副会長を務めるツルミ印舗(金沢市高岡町)の鶴見昌平さんが後方で支援した。
東日本大震災で奇跡的に残った一本松により「次世代に震災の記憶を残したい」という市民の思いにより、伐採され震災モニュメントとして再生されるとの報道を聞いた同会が「印章彫刻をなりわいとする職人の技術で、被災された人々の思いがこもった『奇跡の一本松』を印鑑として残すことで、震災復興支援につながるのではないか」と考え、同市に申し出た。
木目が粗く、印材には適さないという松の木を使うにあたり、試行錯誤しながら部位の選定や、松を最適な硬さにするための樹脂加工について、大手建材メーカーや印材加工業者から協力を得て実現した。
1月下旬に「はんこが彫れる」までの印材に仕上がり、2月には印稿と呼ばれる「はんこの設計図」コンテストに集まった31作品から、最終案を決定。3センチメートル四方の小さな角に、職人らが復興への思いを込めた。
鶴見さんは「復興支援にお金を使うことやボランティアとして協力することはできても、それが本当に復興に役立っているのか疑問に思っていた。われわれの仕事を通じて記念すべき公印を贈ることができ、後世にまで残る事業となったと思う」と話す。
公印を受け取った戸羽市長は「街のシンボルとなっている一本松がこのような形になって、後世にまで受け継がれることはうれしく、感謝したい」と応えた。