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金沢で「研究者が能登から学ぶこと」テーマにトークセッション

サンゴの研究事例を説明する渡邊剛さん(右)

サンゴの研究事例を説明する渡邊剛さん(右)

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 トークセッション「能登の地と知、いかに学びを繋(つな)げるか。」が2月16日、しいのき迎賓館ガーデンルーム(金沢市広坂2)で行われた。

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 金沢21世紀美術館(金沢市広坂1)で現在開催している「すべてのものとダンスを踊って―共感のエコロジー」展の関連イベント「地球研DAYS」の一環。金沢芸術創造財団と 総合地球環境学研究所(京都市)が企画した。「地球研DAYS」では、地球を取り巻く課題を、研究とアートの視点から考えることを目的に、トークセッションや演劇、学術シンポジウムなど、さまざまなプログラムを展開する。

 トークセッション「能登の地と知、いかに学びを繋げるか。」では、能登半島地震後の復旧・復興や地域のあり方について、研究者と参加者が議論を行った。第1部の研究報告会「能登から学ぶこと:災害と向き合うレジリエントな社会」では、総合地球環境学研究所准教授の渡邊剛さん、金沢大学環日本海域環境研究センター長の長尾誠也さん、京都大学地球環境学堂准教授の深町加津枝さん、総合地球環境学研究所副所長の谷口真人さんが登壇。最新の研究報告と意見交換を行った。

 鹿児島県奄美大島の東方にある離島、喜界島でサンゴの研究を行っている渡邊さんは「喜界島と能登のサンゴから学ぶ 過去・現在・未来の人と自然関係性」について説明。能登半島地震で海岸の地盤が約4メートル隆起した部分にサンゴが発見されたことを紹介した。「温暖化の影響でサンゴが北上していて、冬でも生き残れるようになっている。地球が変化を続けていて、それが能登半島までやってきた。研究者だけでなく、アーティストも含めて調査を始めている。サンゴと人の記憶を過去から現在にかけて比べた時に、未来をどうしたら良いか気づきが得られるのではないか。喜界島や能登半島から学びたいと考えている」と話した。

 長尾さんは「能登から日本の自然・社会環境問題を考える」、深町さんは「能登から学ぶ里山里海の今、そしてこれから」としてそれぞれの研究を紹介した。谷口さんは「災害時の水利用における共感・共有・共創の可視化」について説明。能登半島地震での断水の際、井戸の持ち主が水を分配することを了承し、行政が素早く情報公開した事例を紹介。災害を通じて、普段は目にとまらない井戸水が人と社会が持つ本来の信頼関係を「見える化」したと説明した。

 谷口さんは「地域の持っている知、科学の知、アートの力をつなげて、これからの日本の未来の形を一緒に考えていければ」と話す。

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