西野製作所(金沢市北安江3)が人工知能を搭載したピッチングマシンを完成させ、石川県産業展示館(袋畠町)で5月17日~19日に開催される機械工業見本市「MEX金沢2012」でお披露目する。
このピッチングマシンの名称は「PITCH(ピッチ)18」。タッチパネル式の操作盤で球速、球種、コースを設定することができ、それに基づいてマシンがボールの飛び出し口の位置を調整。内部に組み込まれた3つのローラーが回転し、ボールを送り出す。
球速は時速80~160キロメートルに対応し、球種は「ストレート」「伸びるストレート」「大きなカーブ」「小さなカーブ」「大きなシュート」「小さなシュート」など10種類を用意した。「右投手」「左投手」も選べる。このほか、利用者がボールの回転速度をより細かく決められる「上級モード」もある。
「実用化された人工知能搭載ピッチングマシンはこれまでになかった。(米レンジャーズの)ダルビッシュ選手の変化球や(東北楽天ゴールデンイーグルスの)田中将大選手の時速155キロの『伸びるストレート』、(北海道日本ハムファイターズの)斎藤佑樹選手のスライダーも投げられる」と西野十治社長。
同社は木工機械と工作機械製造が本業で、ピッチングマシンを手掛けるのは初めて。西野社長が、約15年にわたって研究を続けてきた金沢大学元工学部長で名誉教授の尾田十八さん、同大理工研究域機械工学系バイオニックデザイン研究室の助教、酒井忍さんと意気投合。2人が中心になって発明し、大学名で特許を取得した技術を使って同マシンを完成させたという。
価格は約600万円。「MEX金沢2012」で披露した後、注文を受け付け、7月ごろから販売を開始する。
「苦手な投手の球速、球種、コースを入力して、集中的に練習することも可能。このマシンを使って甲子園出場の夢をかなえたり、プロ野球球団に入る選手が出たりすることを願っている」と西野社長。尾田さんは「発明したものが世の中に出るのは、子どもが生まれるような気持ち」と笑顔を見せる。