ゴールデンウイークの北陸三県をクラシック音楽で彩る「ラ・フォル・ジュルネ金沢『熱狂の日』音楽祭2012」が4月29日、開幕した。今年のテーマは「サクル・リュス(ロシアの祭典)」で、会期中、ロシアの作曲家の楽曲が披露される。
初日は11時、JR金沢駅と同福井駅、富山県民会館(富山市)の3カ所でファンファーレが鳴り響いた。金沢駅を担当したのは金沢大学フィルハーモニー管弦楽団で、引き続きカバレフスキーのバレエ組曲「道化師」などを演奏し、1週間にわたる音楽祭の幕開けを飾った。
メーン会場の石川県立音楽堂(金沢市昭和町)ではオープニングコンサートが開かれ、バイオリニスト、神尾真由子さんとオーケストラ・アンサンブル金沢が井上道義同オーケストラ音楽監督の指揮でチャイコフスキーの「バイオリン協奏曲ニ長調」を披露した。観客はドラマチックな演奏に酔いしれ、盛大な拍手を送った。
今年の音楽祭で採り上げるのは、19世紀に活躍し「近代ロシア音楽の父」と呼ばれるグリンカから1998年に亡くなったシュニトケまで。司会を務めた作曲家の池辺晋一郎さんは、ショスタコービッチらソ連時代の作曲家は閉じ込められて国家が望む曲を作らされたり、作品の書き直しを命じられたりしていたと、当時の芸術家が置かれた過酷な環境を解説した。そのうえで、「ロシアは音楽にしても、演劇にしても、大変な文化的財産を含んでいる国」と話し、音楽祭への来場を呼び掛けた。
この日はさらに、北陸電力会館本多の森ホール(石引4)で「バレエの日」公演が行われ、県内のバレエ教室に通う約150人が、天沼裕子さんが指揮する大阪交響楽団の演奏に合わせ、チャイコフスキーの「白鳥の湖」やハチャトリアンの「仮面舞踏会」などを踊った。出演した金沢錦丘中3年の川口ひかるさん(14)は「とても新鮮で良かった」と声を弾ませていた。
同音楽祭では、最終日の5月5日までに北陸三県で有料・無料合わせて約170の公演が行われ、国内外からプロ・アマチュアを含めて個人約130人と約60団体の総勢約2000人が出演する。金沢での本公演は3日~5日。