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復活の石川産サツマ芋で「干し芋」-金沢の食品加工会社などが販売

サツマ芋「兼六」で作ったオハラの「干し芋」。鮮やかなオレンジ色が特長だ。

サツマ芋「兼六」で作ったオハラの「干し芋」。鮮やかなオレンジ色が特長だ。

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 石川県内で新品種として開発されながらも、その後、他県育ちの別品種にとって代わられ、以来、半世紀にわたって県内ではほとんど栽培されていなかったサツマ芋「兼六」がおやつの「干し芋」用として復活した。

「じわもんおやつ」シリーズとして売り出した「干し芋」を見せる「オハラ」営業課長の松下さん

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 県砂丘地農業試験場(かほく市)によると、「兼六」はサツマ芋「赤元気」と「ナンシーホール」を交配してできた種から育った子孫のうち、1935(昭和10)年から1940(昭和15)年にかけて、石川県内で地元の気候や風土に適するものを選抜して生まれた品種。食糧難だった終戦後は県内をはじめ全国の約2500ヘクタールの畑で栽培された。しかし、小ぶりで収量も少ないことなどから、生産農家が次第に「五郎島金時」など別品種を栽培するようになり、昭和30年代後半には県内から姿を消したという。

 同試験場はその後も系統維持のため、敷地の一角で年間25株を栽培し続けてきたが、2009年に農事組合法人などから干し芋づくりの相談を受けたことから利用を持ち掛け、生産拡大に乗り出した。本年度は農家約10戸が試験栽培し、県内の作付面積は約30アールになった。

 「干し芋」はスライスしたサツマ芋を乾燥させたおやつ。調味料や食品添加物は使っておらず、芋そのものの甘さを味わえる。特に、「兼六」は蔗(しょ)糖と水分が多いため一段と甘味が強く、しっとりと柔らかく仕上がるという。栄養素のカロテンを含むことから、色は鮮やかなオレンジ色になる。

 加工・販売しているのは食品加工の「オハラ」(金沢市柳橋町)、農事組合法人「にわか」(白山市)など3つの企業・団体。オハラは昨年秋に収穫された500キロを加工し、2月15日、JR金沢駅(木ノ新保町)構内のコンビニエンスストア「ハートイン金沢店」などで発売した。1袋200グラム入りで700袋を用意したが、4月中には売り切れると見込んでいる。価格は400円。

 オハラの松下龍文営業課長は「販売店の方からは、若い女性もドライフルーツのような感覚で買い求めていくと聞いている。こんなに干し芋が売れるとは考えておらず、思わぬヒット商品になった」とうれしそうに話している。

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