日本各地の銘椀100点の復刻作品を並べた「山中漆器・復刻『古代椀(わん)百選』展」が現在、県伝統産業工芸館(金沢市兼六町、TEL076-262-2020)で開催され、来場者が山中漆器職人の技術の粋に見入っている。
貴重な古代椀100点の復刻作品が並べられた「復刻古代椀百選展」の会場
復刻されたのは、名著とされる「漆椀百選」(荒川浩和著、1975年、光琳社出版発行)と「時代椀大観」(松田権六・羽野貞三編、1972年、文化出版局発行)に採り上げられている、主に江戸時代以前に作られた100点。加賀市の山中漆器連合協同組合の職人約120人が木地ろくろ挽(ひ)き物の産地で、椀づくりを得意としている山中の技術の高さをアピールし、自己研さんにも役立てようと、今から約20年前に1年をかけて製作した。材料に用いた木の種類が違うものもあり、全くの復元ではないが、形状や蒔絵(まきえ)などを原物に似せて仕上げてある。
展示されているのは、内側の底部に黒漆でクマを描いた「熊漆絵椀」(東京国立博物館所蔵)、黒漆塗に梨地をまき、貝殻を使って梅の木を表した華やかな「梅亀甲紋螺鈿(らでん)椀」(東京藝術大学所蔵)、男性2人が山野を眺めている様子を描写した珍しい唐物風の「山水人物蜜陀絵四重椀」(山口県立博物館所蔵)などの復刻作品。上質の漆椀が一堂に並べられた様は圧巻で、来場者は「きれい」などと話しながら鑑賞している。
開場時間は9時~17時。第3木曜休館。入場料は、18歳以上=250円、65歳以上=200円、17歳以下=100円。9月28日まで。