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近江町市場青年部、被災地の小学校へ金管楽器寄贈-「いつかここで弾いて」

発送前に楽器を確認する青年部員

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 近江町市場(金沢市青草町)の青年部は6月2日、東日本大震災で被災した宮城県名取市の不二が丘小学校にサクソホンなど5種類の金管楽器を送った。同市教育委員会から要請を受け、市場内の募金箱に集まった義援金の一部で購入した。

発送前に楽器を確認する青年部員

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 青年部は震災発生翌日の3月12日、市場内に募金箱を設置し、各店舗の経営者や従業員、買い物に訪れる市民、観光客らに協力を呼び掛けてきた。被災者の窮状を憂い、1万円札を入れる人もおり、6月1日までに130万円を超える金額が集まった。

 この義援金で被災地に必要なものを買って送ろうと、現地ボランティアを介して同市教育委員会に要望を聞いたところ、「不二が丘小学校に金管楽器を送ってほしい」と依頼があった。同校では、津波で楽器が塩水に漬かって使えなくなったという。校内には校舎が被災した市内の閖上(ゆりあげ)中学校の生徒たちも避難し授業を受けているが、同中学校の楽器や楽譜も全て流され、通常通りの音楽の授業も吹奏楽部のクラブ活動も行えない状況だ。海に近い閖上地区は震災で壊滅的な被害を受け、同校の生徒も亡くなったという。市教委は一日も早く被災前の学習環境を取り戻そうと、他の地域にも寄贈を要請している。

 青年部が送ったのは、ユーフォニウムとスネアドラム、フレンチホルン、テナーサックス、アルトサックス各1点と備品(総額約90万円)。部員の中には、「送るものが緊急物資ではなく楽器では、募金をしてくれた人に納得してもらえないのでは」と懸念する声もあったが、協議の末、被災地の希望に応えることにした。

 2日は果物店、ドジョウかば焼き店、精肉店、鮮魚店、かまぼこ販売店の5人が集まり、発送する品物を確認した。段ボール箱の中には、部員や買い物客らが「頑張れ!東北!近江町も応援してます!」「いろいろ大変だと思うけど、めげずに頑張ってください!私も自分にできることは精いっぱいやります!」などとしたためたメッセージカード42枚を入れ、子どもたちが喜ぶ顔を思い浮かべた。

 青年部の坂野浩章部長は「練習場所もないと聞いたが、この楽器を使って生きる楽しさを感じてほしい。いつか近江町で弾いてもらいたい」と話す。青年部では日本赤十字社にも現金約20万円を寄託しており、残りと今後寄せられる善意の使い道は被災地からの要望を聞いて検討する。

 寄贈を機に、7月30日・31日に七尾市の七尾マリンパークで開催される「モントレージャズフェスティバルイン能登」に閖上中学校吹奏楽部の全部員11人を招待する話も進んでいる。実行委員会が被災地を応援するため、宮城、岩手、福島各県のいくつかの中学・高校の吹奏楽部やジュニアジャズバンドなどに出演を依頼している計画の一環。実現すればステージで合同演奏してもらう。

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