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大震災で母亡くした宮城出身のミュージシャン、近江町で慈善ライブ

郷里への思いを胸に、弾き語りを披露する佐藤さん

郷里への思いを胸に、弾き語りを披露する佐藤さん

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 東日本大震災で母親を亡くした宮城県石巻市出身の男性が近江町いちば館前広場(金沢市青草町)で連日、仲間とともに被災地支援のためのチャリティーライブを開いている。買い物に訪れた市民や観光客は哀愁を帯びた歌声にじっと聴き入り、募金箱に善意を寄せている。

会場ではアートポストカードの販売も行われた

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 この男性は金沢市に住むイージーTAKUこと佐藤卓路さん(58)。佐藤さんの実家は2階まで浸水し、母親のたまきさん(85)は避難所まで逃げたものの衰弱が著しく、12日夜に亡くなった。同居していた兄は今も近くの小学校で不自由な避難生活を送る。

 ようやく連絡がついた兄からは「泊めるところもないし来なくていい。受け入れ態勢が整ったら呼ぶ」と言われ、突然、母と実家を失った衝撃と深い悲しみに耐えながら、「金沢にいて被災者のためにできること」として慈善イベントを考えたという。

 イベントの名称は「いてもたってもいられない」。佐藤さんの仲間や、親交のある喫茶店「メロメロポッチ」(下近江町)店主の熊野盛夫さん(41)を通じて開催を知ったミュージシャンもボランティア出演している。中には飛び入り参加する人も。

 24日は七尾市や岐阜県高山市などから集まった13組がギターの弾き語りやハーモニカの独奏でオリジナル曲や歌謡曲、フォークソングを披露した。佐藤さんは今も連絡がつかない仙台市の友人が作詞し、自ら曲をつけた「石巻哀歌(エレジー)」とふるさとの民謡を歌い、「本当はがっくり来ているんですよ。でも泣いていても仕方がないし、実家にも帰れない。石川県の人がますますパワーをもって東北の手助けをしてくださることを心より祈ります」と聴衆に語りかけた。

 会場では、県内外のアーティストが無償提供したアートポストカードもチャリティー販売している。募金は、会場準備に協力した近江町市場商店街青年部を通じて義援金として寄付する。

 開催時間は14時~18時。今月27日まで。

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