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県緊急消防援助隊2次隊82人が被災地から帰還-現地の様子語る

解散式で整列する県緊急消防援助隊2次隊の隊員

解散式で整列する県緊急消防援助隊2次隊の隊員

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 東日本大震災の被災地である岩手県野田村に派遣されていた石川県緊急消防援助隊2次隊の82人が3月16日、帰還した。隊長を務めた金沢市金石消防署副署長福島薫さん(57)は同市消防局(泉本町7)でインタビューに応じ、「自分の目で見ても現実のことと思えない凄惨(せいさん)な現場だった」と現地の様子を振り返った。

インタビューに応じ、で被災地の様子を語る福島隊長

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 県緊急消防援助隊を組織するのは、県内の10の消防局と消防本部の職員。2次隊は13日に県内を出発し、バスで片道15時間をかけて岩手県入りした。14日早朝、津波で壊滅的な被害を受けた岩手県野田村に赴き、前日から生存者を捜索していた1次隊91人と交代した。

 海岸沿いに位置し、約1,700世帯、約5,000人が暮らす同村では、数百軒の家屋や保育所などが流されたとみられている。2次隊は14日・15日の午前中、栃木県の緊急消防援助隊とともに、海岸沿いを走る国道近くから約150メートル流され、村役場前の広場に堆積した約100軒の損壊家屋群を担当。隊員が横一列に並んで2メートル以上の高さがあるがれきの上を歩き、肉眼で生存者を探した。生存者の発見には至らなかったが、園児の名簿を入れた保育所の金庫や貴重品の入ったハンドバッグを見つけたという。

 現場は常に危険と隣り合わせだった。14日午前には津波警報が発令され、福島隊長自身、沖合に立つ不気味な白いさざなみを目撃し、隊員に退避命令を出した。度々余震も起き、そのたびに活動を中止したという。

 福島隊長は「生きておられる方を見つけようと人力をかけて探したが、残念ながら発見することができなかった。隊員は劣悪な環境の中で一生懸命やってくれた。誇りに思う」と話した。

 同村では、2次隊から引き継いだ3次隊が捜索活動を続けている。

 この日は同庁舎前で2次隊の解散式が行われ、竹田由喜夫県消防長会副会長(白山石川広域消防本部消防長)が隊員の労をねぎらった。

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