石川県銭屋五兵衛記念館(金沢市金石本町、TEL 076-267-7744)で現在、「懐かしの加賀・能登大衆文化コレクション展」が開催されている。
同展では、生粋の金沢育ちでコレクターの伊藤正宏さんが集めた明治以降の石川県にまつわるレコードやポスター、入場券、乗車券など紙資料を中心に約320点を展示。同館館長が貴重な収集品を基に当時の文化を懐かしんでもらおうと、伊藤さんに提供を依頼した。
代々、茶道具や金箔・和装など金沢の伝統工芸に携わる家系に育った伊藤さんは、幼少のころから学校行事の冊子などを大切に保管する気質で、リタイア後の現在も「金澤ふるさと倶楽部」の代表として自身のコレクションを披露する機会を設け、有志とともに金沢・石川の文化を伝える活動を行う。
展示するのは、「片山津ブルース」(昭和44年、三島敏夫)、「能登半島」(昭和52年、石川さゆり)など、石川を舞台にした楽曲のレコード約70点のほか、金沢の伝統的な祭り「百万石祭り」の代々のポスター、兼六園唱歌の歌詞が記載された紙箱「四季の兼六園のマッチ」(明治35年発行)などのレアアイテムなど、現在では自治体でさえも保管していないものが多数並ぶ。
「コレクションといっても、ただ単にビンテージものを集めたわけではなく、石川県に限定したものを長年ためていった」と話す伊藤さん。発行元にもない資料を多く保管していることから、地元の自治体やマスコミから資料提供の依頼を受けることも多くなり、現在はコレクターとしてラジオに出演する機会も。伊藤さんは「金沢城や兼六園で遊びながら育った自分にとっては、身近にあるものを残していくのは楽しみだった」と笑顔で話す。
開館時間は9時~17時。火曜休館(祝日の場合は翌日)。入館料は、大人=500円、小中高生=350円。