地域の企業経営者や著名人らを講師に招き、学生ら若者を対象に無料で授業を行っている「タテマチ大学」(金沢市片町1)の町家カフェ部は2月11日・12日、料理屋「壽(ことぶき)屋」(尾張町2、TEL076-231-6245)を使い2日間だけのカフェを開く。7日には同店でミーティングを行い、間近に迫った本番に向けメニューや接客手順について打ち合わせた。
壽屋は江戸時代末期に建てられた町家で、市指定保存建造物に指定されている。精進料理や会席料理を提供しており、若者が来店する機会が少ないことから、山縣秀行社長が「さまざまな年代の人に気軽に中に入って建築を見てもらう機会を作ろう」と期間限定のカフェを考案し、同大学に持ちかけた。
これを受けて、同大学が昨年8月に同部を発足。募集を見て集まった金沢大学と金沢工業大学、金沢学院大学、石川県立大学の学生8人が部員となり、山縣社長らとともに開店準備を進めている。
カフェとして使うのは、同店の6部屋のうち、約150年前の江戸末期に建てられた数寄屋(すきや)造りの「四季の間」。20畳の広さがあり、引き戸のガラス越しに雪化粧が施された日本庭園を眺めることができる。
メニューは加賀野菜を使ったミックスジュース、抹茶、加賀棒茶、黒ゴマのお汁粉、抹茶ムースなど9種類で、一律400円で販売する。学生たちはこれまでに全15品目の加賀野菜全てを使い、組み合わせを変えて20種類以上のミックスジュースを試作。このうち、最もおいしかった打木赤皮甘栗(うつぎあかがわあまぐり)カボチャとサツマイモ「五郎島金時」にバナナ、黒みつ、豆乳などを合わせた1杯を当日用意する。来店客から注文を受ける度に、あらかじめふかしておいたカボチャと金時などをミキサーにかけ、作りたてを提供する。
会場の一角では、金沢美術工芸大学工芸科の学生2人が作ったアクセサリーやオリジナル手ぬぐいも販売する。
7日のミーティングでは、当日の給仕手順や人員配置、服装、BGMなどについて確認したほか、山縣社長が抹茶のたて方を指導した。
部員の1人で、金沢大学医薬保健学域保健学類看護学専攻3年、能安輝子さん(20)は「ミックスジュースはみんなで試作を重ねて作ったので、ぜひ味わってほしい」と来店を呼び掛ける。石川県立大学食品科学科4年、有賀梨紗さん(22)は「かわいいメニューを作って、自分でも『また今度、行きたい』と思うようなカフェにしたい」と、期待に胸を膨らませた。
開店時間は両日11時~17時。同部は今後も、同店で期間限定の町家カフェを開くことにしている。