金沢市のメーンストリート、国道157号のむさし交差点-片町交差点間約1キロの区間で9月4日、公共交通機関の利便性向上を目的としたバス優先レーンの交通実験が始まり、ガードマンらが車のドライバーに協力を呼びかけた。
金沢市内では、2014年度の北陸新幹線金沢開業後、同市を訪れる観光客が大幅に増加すると期待されている。同レーンは、JR金沢駅に降り立った観光客が市内の観光地まで円滑に移動できるよう、公共交通機関である路線バスの定時性・利便性を向上させようと考案された。交通実験は、同レーンを含め、どのような交通規制が妥当であるか調査するため、市と石川県、同県警、バス事業者2社、国土交通省などが合同で協議会を作って実施する。
同レーンは、走行する一般車両のドライバーが後方から近づいてくる路線バスを見かけた場合、進路を譲らなくてはならない車線。渋滞のために車線変更ができない恐れがある場合は走行してはいけないという決まりもある。今回の実験では、車道のうち歩道側の1車線を同レーンとして設定する。本格導入された場合、違反車両は取り締まりの対象になり、減点2点と反則金7,000円の罰則が課されるが、実験期間中の取り締まりは行わない。
実施期間は、9月中の土曜・日曜・祝日と、13日から17日までの平日5日間の計15日間。この間、対象区間の交通量を調べるほか、調査員がバスに乗り込んだり、車を走らせたりして、走行時間を計測し、効果を検証する。一般車両のドライバーを対象に、導入への賛否を尋ねるアンケートなども行う。
同区間では既に、月曜~土曜の7時30分~9時と17時~18時30分、一般車両の走行を禁止するバス専用レーンが導入されている。
4日はむさし交差点周辺で広報キャンペーンが行われ、市職員や北陸鉄道とJR西日本バスの社員、金沢東署員ら8人が通行人らにチラシ500部を配りPRした。また、対象区間のうち3カ所に警備員が立ち、「路線バスに車線をゆずってください」と記したプラカードを手にして、一般車両に注意を促した。初日とあって、まだ実施を知らず、バスの前を悠々と走るドライバーの姿も見られた。
4日午前中にバスを利用した金沢市内の会社員男性(58)は「目的地までの時間はいつもと大して変わらなかった。15時過ぎになると、南町からむさしにかけて混雑する。(優先レーンの実施は)いいのでは」と話し、停留所で乗車を待っていた70歳代の男性も「バスが時間通りに来るのは助かる」と歓迎した。一方、ドライバーからは「走りにくくなった」「金沢の道は狭いので通行規制をしない方がいい」などの声も聞かれた。