キャリア教育支援マガジン「さくらノート」を発行する盤水社(金沢市彦三1)は7月1日、同誌の横浜・川崎版を創刊した。
さくらノートは、地域の企業で働く人に取材し、仕事のやりがいや使命感を語ってもらう内容の冊子。発行費用は協賛企業の会費でまかない、地域の中学校、高校に無料で配布するビジネスモデルで注目を集め、経済産業省の「日本を代表するソーシャルビジネス55選」にも選ばれている。
横浜・川崎地区への進出は、昨年2月、全国的ビジネスプランコンテスト「横浜ビジネスグランプリ2009」に入賞したことがきっかけ。同社社長の中山貴之さんによれば、「地方の中小企業の人材確保を目的にしたさくらノートのビジネスモデルが、大都市で通用するのか」との不安もあったというが、学校関係者や企業から「優秀な人材の多くが東京に流出してしまう」との悩みが多く聞かれたことから、同年11月に横浜事務所を開設し、創刊準備を進めてきた。
「さくらノートの趣旨に共感してくれる企業経営者と巡り合えたことで創刊号を発行できた」という中山さん。企業を訪問する中で「大人が額に汗して働く姿を、子どもたちに見せたいという気持ちは全国どこでも同じ」と実感したという。
創刊号は16社の社員が登場する。発行部数は8万部で、地域の320の中学校、高校に配布する。配布予約のなかった学校からの問い合わせも相次ぎ、中山さんは「手応えを感じる」とほほ笑む。第2号は年内に発行予定。今後、名古屋進出もにらむ。