韓国人監督が脱北の悲劇を描いた映画「クロッシング」-金沢で上映へ

キム・テギュン監督作品「クロッシング」の一場面

キム・テギュン監督作品「クロッシング」の一場面

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 金沢のシネモンド(金沢市香林坊2 KOHRINBO109 4階、TEL 076-220-5007)で6月19日から、韓国人監督キム・テギュンが家族を引き裂く脱北の悲劇を描いた「クロッシング」が公開される。

「クロッシング」の一場面

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 舞台は2007年の北朝鮮。炭鉱で働く元サッカー選手のヨンスは、妻ヨンハと11歳の息子のジュニとともに貧しいけれど幸せに暮らしていた。しかしヨンハが肺結核で倒れたことから、ヨンスは薬を入手するため決死の覚悟で国境を越え中国へ。薬代を稼ぐために働くヨンスだが、不法労働が発覚し、公安に追われる身となってしまう。そのころ、北朝鮮では夫の帰りを待ちわびていたヨンハが息を引き取る。一人残されたジュニは父との再会を信じて国境の川を目指すが、強制収容所に入れられてしまう。

 第2次大戦後、韓国と北朝鮮に分断された朝鮮半島。北朝鮮の住民は1996年以後、過酷な食糧危機で300万人以上が餓死したともいわれ、脱北する人々は後を絶たない。

 キム・テギュン監督は、北朝鮮が韓国から「最も近くて最も遠い国」になってしまった現状を深く恥じ、「生きるために別れるしかなかった家族の悲劇を通して、『片一方の彼の地』に住む人々の涙と、その理由を描きたい」とクロッシングの製作に着手。100人以上の脱北者に取材し、企画から4年の歳月を費やして作品を完成させた。

 撮影は脱北者に冷淡だったノ・ムヒョン政権下で徹底して極秘裏に行われ、実際の脱北経路を撮影するため、韓国、中国、モンゴルを行き来し、総移動距離は8,000キロに及んだという。韓国では政権交代後の2008年6月に公開され、2009年の第13回米国ハリウッド映画祭でグランプリを受賞した。

 同作には30人余りの脱北者がメーンスタッフとして加わっており、北朝鮮の素朴な田舎を完ぺきに再現するとともに、想像を絶する脱北と強制収容所の実態をリアルに描くことに成功した。この10数年北朝鮮で何が起こっているのか、生きるために命をかけて国境を越える人々の苦悩と残される家族の悲しみはどれほど深いものなのか。脱北者の叫びにも似た「伝えたい思い」を作品に込めた。

 1時間47分。上映時間は同館のサイトで確認できる。7月2日まで。

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