石川県オリジナルのブドウ新品種「ルビーロマン」を使ったジェラートの試作品が10月までに完成した。開発を手がけたのは、漬物専門店「四十萬谷(しじまや)本舗」(金沢市弥生1、TEL 076-241-4173)と能登町や野々市町でジェラート専門店を展開する「マルガージェラート」。来年からの販売を目指してさらに改良を進め、石川が誇る「果実の宝石」の浸透を図る。
ルビーロマンは、同県農業総合研究センターが1995年から10年以上の歳月をかけて育て上げたブドウの新品種で、2007年に品種登録が完了、昨年より出荷を開始した。赤色の大粒の実を付け、酸味は少なく糖度は高く、ジューシーで皮をむきやすいのが特徴。
四十萬谷屋本舗の四十万谷正久社長と妻の直美さんは、同品種を全国に広めていく役割を果たす「ルビーロマンサポーター」のメンバーで、シニア・ベジタブル&フルーツマイスターの資格を持つ。これまでにもマルガージェラートと共同で石川県産の食材を使ったジェラートの開発を手がけており、同センターが育成したリンゴの新品種「秋星(しゅうせい)」を使ったジェラートも今年から本格的に販売している。
JA全農いしかわからルビーロマンを使った商品の開発を打診された社長夫妻は、同品種の味わいを生かすには、素材の味わいを楽しめるジェラートが適していると判断。マルガージェラートのオーナー、柴野大造さんに製造を依頼した。
「口にするとみずみずしい果汁とともにフワッと香りが広がり、上品な甘みを楽しめる。一粒で豊かな気持ちになれる果物」と同品種の魅力を語る同社長。サポーター活動を通して生産農家とも交流を深め、生産者が同品種にかける熱い思いを知るだけに、「ルビーロマンの持つ雰囲気やイメージを大切にした商品づくりを心がけた」と話す。
柴野さんは、何度も試作を繰り返し同社長らと意見を交換しながら開発を進めてきた。最も苦労したのは色や味のバランスで、淡いルビー色は天然色で出し、微妙な配色に気を使ったという。「本来のおいしさを引き出すために牛乳を使用せずソルベタイプに仕上げ、糖度は抑え目にして果汁をしっかり使った。ルビーロマンの果実が完全に水に混ざった状態のベースのジェラートとは別に、果実を凍らせて後入れでざっくりと混ぜることで果肉の食感を加え、ブドウのうま味を前面に出した。果実の皮はすべて手作業で一つひとつむき、食べやすくした」(柴野さん)。
同品種の旬は限られているが、ジェラートにすることでその味わいをより長く楽しむことができる。新たな販路の開拓も見込めることから、来年より本格的な販売がスタートすれば、石川発のブランド果物としての認知向上に一役買うことになる。