金沢の港町で400年の歴史を持つしょうゆの蔵元が集まる「大野醤油協業組合」(金沢市大野町)の若手後継者で構成する青年部「むらさき会」は10月1日、各蔵共同で「お試しサイズ」のしょうゆを発売した。
「関東の辛口」「関西の淡口」など、各地には食文化の特徴を反映したしょうゆの名産地がある。現在、25蔵100種類以上ある同町のしょうゆは加賀藩時代に特産品として確固たる地位を築き、明治時代には60以上のしょうゆ醸造業者が集まる一大産地となった。その「大野醤油」は甘味とうまみを持ち合わせる「うまくちしょうゆ」と言われ、加賀料理など豊かな食文化とともに発展してきた。輪島塗、九谷焼、加賀友禅などと並び、県の地域ブランドとして地域団体商標に登録されている。
同会では、地区全体で共通のポリシーを持ちながらも、各蔵がそれぞれ持ち味を大切に職人気質で醸した「こだわりのしょうゆ」の魅力を全国に発信。販路拡大を目指して「大野醤油MYしょうゆプロジェクト」を立ち上げた。その第1弾として「直源」「粟長」「紺善」「橋栄」の蔵元と同組合が、蔵ごとの味を試してもらおうと50ミリリットル入りの「お試しサイズ」に共通の容器とラベルを用い開発。「Myしょうゆ」として気軽に職場や旅先などに携帯できることを想定し販売した。各蔵1,000本を販売予定。
同会担当者は「大野醤油を知らない人、知ってはいるが使ったことのない人に『うまくちしょうゆ』の味を知ってもらいたい。100種類以上ある大野醤油から、自分好みの味を見つけてほしい」と話す。