石川県茶商工業協同組合は10月9日、県産茶葉を使った和紅茶「加賀の紅茶」を発売し、同日、金沢21世紀美術館のカフェレストラン「フュージョン21」(金沢市広坂)で開催された「加賀紅茶・完成発表会」で紅茶愛好家や業界関係者に披露した。
「のんでみまっしプレート」と茶葉と九谷焼のティーカップセット
全国でも鹿児島や静岡などで生産が広がりつつある「和紅茶」。現在その大半が茶葉生産者の起業によるものだが、「加賀紅茶」は、茶専門店主導で開発が進められたという点で全国初となる。
慌ただしい生活の中で日本茶をゆっくり楽しむ機会が少なくなり、自販機で手軽買えるペットボトル入り緑茶の普及により日本茶専門店の存在感が薄れてきたことから、同組合では地域資源の活用と関係業界の振興を図るため、県中小企業団体中央会の支援を受けてプロジェクトチーム「茶レンジの会」を発足させ、開発に至った。
同紅茶には、加賀市打越地区で収穫された和茶葉の中でも、通常は商品化されない二番茶、三番茶を有効活用。緑茶と比べ発酵時間を長くすることで西洋紅茶に近い味わいと色に仕上げた。西洋の紅茶に比べ、渋みが少なくまろやかな味わいと清々しい後味が特徴で、自然の甘みと香りが優れていることから、砂糖を入れずストレートでおいしく飲むことができるという。今回は40キログラムの茶葉を商品化。同組合の担当者は「今後も紅茶の販売を拡大したい。茶葉を使ったジェラートなどスイーツへの展開も考えている」と話す。
完成発表会では、同組合の織田勉理事長が「400年の歴史を持つ加賀茶の歴史でも画期的な試みで、丹精込めて最高級の茶葉に仕上げた。生まれたての赤ちゃんをしっかりとした成人に育て上げたい」と期待を込めてあいさつ。引き続き、茶葉を披露するテープカットと同紅茶の入れ方のデモンストレーションが行われた。
同会では紅茶愛好家ら約50人が同紅茶を試飲。紅茶講座の講師で「TEA CAFE志庵」の蔵理恵さんは「日本産の紅茶の味は期待していなかったが、とてもおいしい」と絶賛。フードコーディネータのつぐまたかこさんは「紅茶を入れる時間、飲む時間が石川の時間の流れに合っている。悠久とした時間を楽しめる」と感想を寄せた。
パッケージには、加賀友禅風の花柄を表現しつつ洋風にアレンジした筒型と、水引で「一芯二葉」を表し和風のパッケージに仕上げた祝儀袋型の2種類を採用。組合加盟の20店舗で500パック限定で販売する(50グラム入り、945円)。
新商品のアンテナショップでもある同カフェでは、旬の加賀野菜などを食材に使ったスイーツと紅茶のセットメニュー「のんでみまっしプレート」(1,155円)を新たに用意。現在の同プレートには、「五郎島金時のタルト」「県産コシヒカリのガレット」「加賀レンコンのサブレ」の3種が入る。
茶葉100グラムと九谷焼のティーカップをセットにした50セット限定の商品(5,250円)は、県内の百貨店(大和香林坊店、名鉄エムザで各25セット)で販売する。