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移住した金沢でクラフトジン造り 創業者が国際賞受賞までの日々を振り返る

「Alembic Dry Gin HACHIBAN」を手にする中川俊彦さん

「Alembic Dry Gin HACHIBAN」を手にする中川俊彦さん

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 金沢の蒸留酒製造所「Alembic(アレンビック)」(金沢市大野町4)社長の中川俊彦さんが12月7日、金沢未来のまち創造館(野町3)でセミナーを行った。

会場の様子

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 金沢市の委託事業TENJO KANAZAWAが主催する起業家セミナーで、テーマは「金沢から世界が認めるジンを創る」。当日は20人ほどが集まった。

 映像制作会社の営業担当だった中川さんは、クラフトビール造りを思い立ってビール会社に転職し、ビールの勉強を始めた。2018(平成30)年に金沢に移住してクラフトビール造りを目指していたが、当時は日本各地でクラフトビールが造られ、後発としての特徴出しに悩んでいたところ、ヨーロッパでクラフトジンがはやり始め、日本でも個性的なジン市場を開拓するチャンスではないかと考え、独学で勉強を始め、事業計画を作り直した。

 中川さんは蒸留所のための土地を大野町で取得して建物を造ることから始め、酒造免許取得や設備計画作成などは後追いになったという。2022年8月に出荷を始めることができ、25種のレシピの中から8番目の試作品が選ばれたことからブランド名を「Alembic Dry Gin HACHIBAN(ハチバン)」とした。同町のヤマト醤油味噌(しょうゆみそ)から配給を受けている軟水に、白山麓で収穫された黒文字などをスパイスに加えているという。

 開発した商品を客観的に評価してほしいと思い、製造を始めた翌年に世界三大酒類コンテストの一つであるIWSC(インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション)に出品したところ、「Gold Outstanding」(最高金賞)とContemporary Gin(コンテンポラリー・ジン)部門最高賞の「Trophy(トロフィー)」を受賞した。中川さんは「受賞で多くの人に商品を知ってもらった。特に地元のバーや料理店で使ってもらえるようになったのがうれしい」と話す。

 セミナー参加者から「50代で新しいことを初めて賞を取るのは偉業だが、普通に考えれば無謀。それでもやろうと思わせたものは何か」と問われた中川さん。「不安の方が大きかったが、ただ、やりたかった」「製造のめどが立っていないのに建物を造ったり、ジンがまだできてもいないのに海外展開を考えたりと、今思えば妄想というかファンタジーのような日々だった」と振り返る。

 親が料理人だったこともあり、食との相性にこだわっているという中川さんは、和食店でジンをぬるかんにする飲み方を教わったことをきっかけに「金沢ならではの『すしと合う』ジンなど、食事と合わせて楽しめるジンを造っていきたい」と話す。

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