金沢港と韓国・釜山港の間に、6月16日から国際定期フェリーが就航することが決まった。函館市に本社のある東日本フェリーが、釜山市のパンスターラインドットコムに委託して週1便運航するもので、県では初の国際定期フェリーを軌道に乗せるため、北陸3県と滋賀県の約200社を対象にポートセールスを開始し、集荷を側面支援していく考えだ。
定期フェリーは毎週火曜日に金沢港へ着き、翌水曜日に出港する。運航計画では、定員514人の「パンスターハニー」、同681人の「パンスタードリーム」、同683人の「パンスターサニー」の3隻を使う。所用時間は片道約21時間、往復料金はスタンダードで(8人、洋室)で大人28,800円から。就航次年度の目標は、旅客30,000人、貨物9,000TEU(20フィートコンテナ換算)、売上高は採算ラインの11~12億円を目指すとしている。
東日本フェリーでは、航路開設に伴い金沢支店を設け、地元雇用も含め10人体制でスタートする。また、CIQ(税関、出入国管理、検疫)の業務は金沢港にある「金沢みなと会館」で行い、5月下旬をめどに会館内に乗車券販売や待合いコーナーを設けるほか、県では9月補正予算に金沢みなと会館の改修費を計上し、機能強化と設備の充実を図る。
大坂-釜山間でフェリーを毎日就航するパンスターラインドットコムは、金沢便と大阪便を組み合わせることで北陸と関西を結ぶ広域観光の幅が広がるとして、韓国の旅行代理店とタイアップした旅行企画の検討に着手している。一方、集荷面では、現在、釜山港との間で週3便あるコンテナ便との差別化を図るため、フェリーが優れる定時、安定、スピード性と多種多様な小ロットの荷物に対応できるメリットをアピールし、官民が連携して新たな需要の掘り起こしに努める方針。
日本総合研究所によると、金沢港を含む日本海側11港の過去10年のコンテナ貨物量は年平均伸び率12.6%と全国平均4.6%を大幅に上回り、金沢港のコンテナ貨物量も過去10年で3倍に増えている。今回のフェリーは、今秋には釜山港の西約50キロの馬山港まで延伸し、建設機械の輸送が本格化する見通しで、「将来的にはフェリーを週2便に増便し、金沢港の国際化にさらに弾みをつけたい」(県関係者)としている。