明治12年創業の九谷焼窯元・上出長右衛門窯(能美市吉光町、TEL 0761-57-3344)が4月11日より、「長右衛門窯九谷焼ショップアルトラ」として2週間限定で金沢に出店する。同窯の伝統的な器に加え、新作を発表・販売するほか、PUMAとコラボレートした九谷焼自転車など他分野とのプロジェクト作品も特別展示する。
同窯が単独のショップを出店するのも、金沢市内で個展を開催するのも、創業以来初。額縁や画材を扱うショップアルトラ(金沢市下堤町、TEL 076-231-6698)がセレクトアートショップとしてリニューアルするのに先駆けて行われるプレオープニングイベントで、同窯6代目候補でアーティストとしても活躍する上出惠悟さんが展示を企画した。
同店では、染付や五彩が施された銘々皿や小皿、大皿、鉢、蓋物など、普段使いの器を中心に約130種類を販売。新作は、社内一貫製造を行う同窯の特色を生かし、絵柄の部分のみ生地に凹面を設け、その凹面に色絵を施したもの。白磁と絵柄の間に凸凹があり、ガラスの象眼が白磁に埋め込まれたような雰囲気を生み出している。上出さんが同窯の実験的試みとして発案し、「凹釉(おうゆう)」と名付けた手法で、視覚はもちろん、触覚でも九谷焼の特徴を味わうことができる。
特別展示では、アーティストでアートジェネラリストのMARUWAKAさんのディレクションが製作したPUMAの九谷焼自転車やドクロ型のお菓子壺、イタリアのジュエリーブランド・カッツァニーガとのコラボレーション作品など、同窯が展開する新たな一面にも触れることができる。作品は店内のほか、同店が入居するビルの1階にあるドトールコーヒー内にも展示される。
「九谷焼というと高級品というイメージが先行して、古い、高い、遠い存在と思われがちだが、そうしたイメージを取り払い、九谷焼のよさをアピールする機会にしたい。特に地元の人にこそ、身近な感覚で九谷焼を見てほしい」(上出さん)
11日18時より、上出さんとMARUWAKAさんが「アウトサイダーがみる九谷焼」と題してオープニングトークを行い、コラボレート作品の製作後日談や、九谷焼の可能性などについて語る。
営業時間は10時~18時(最終日は17時まで)。出店は今月24日まで。
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