金沢城橋爪門の復元工事現場に6月2日、工事の「見学ステージ」が設けられた。県民や観光客はここから、伝統的な匠(たくみ)の技で堅固な櫓門(やぐらもん)が形作られていく様子を間近に見ることができる。
同門は、藩主が住み政治を行った「二の丸御殿」の正門にあたり、「一の門」と「二の門」、石垣と土塀で囲まれた「枡形(ますがた)」で構成される。江戸時代前期の1631(寛永8)年に創建された後、たびたび焼失し、その都度再建されたが、1881(明治14)年の火災で姿を消した。
石川県は2001年、現存していた絵図を基に、同門の「一の門」を復元、昨年6月から「二の門」と「枡形」の工事を進めている。
見学ステージは、縦9メートル、幅5.4メートルの広さで、建設中の二の門2階部分に接する地上6.4メートルの高さに設置された。工事は既に、1階部分の柱組みがほぼ終了しており、来場者は今後、2階の櫓(やぐら)部分が仕上げられていく様子を目の高さで眺めることができる。定員は25人。
県によると、今回の工事の見どころの一つは、屋根。木の屋根の上に薄い鉛の板を貼り付け、鉛瓦のように見せているのが金沢城の特徴で、県の担当者は「内部を見られるのは、工事期間中だけ。ほかの城では見られない工法なので、ぜひ来場を」と呼び掛ける。
また、1辺が27センチの九寸角の木材を使う木工事も、ダイナミック。木と木の接合部分には金具を一切使わず、ほぞ穴にほぞを入れて固定する伝統工法が用いられる。壁は、「木舞(こまい)」と呼ばれる格子状の竹枠の上に土を塗り、さらにしっくいを重ねて仕上げる土蔵などと同じ工法を採るという。工事には、県内の大工や左官、板金などの職人総勢約150人が関わる。
県営繕課建築グループリーダーの山田純一さんは「日頃、見られない職人さんの素晴らしい技術を目の前で見ていただきたい」と話している。
見学ステージの開放時間は9時~16時30分。入場無料。来年9月中旬ごろまで。壁工事は8月下旬~来年9月上旬ごろ、屋根は10月中旬~来年3月中旬ごろの予定。橋爪門は2015年春の供用開始を予定している。