小松と能美の作家・造形師・問屋などで作る創作集団「九谷塾」が、タカラトミー(東京都葛飾区)、タレントの所ジョージさんとタイアップして「九谷焼チョロQ」を完成させ、このほど東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された「東京おもちゃショー2010」で発表した。
チョロQは、丸くデフォルメされた車体が特徴の同社製ミニカー。九谷焼チョロQの企画は昨年11月、東京ビッグサイトで行われたインテリアデザインの見本市に九谷塾が出品した際、メンバーの九谷焼作家、北村和義さんが会場を訪れた同社の社員に制作を持ちかけたことがきっかけで始まった。
北村さんが試作品を東京の同社本社に届けたところ、今年のおもちゃショーで同社の企画として展示することが決定。さらに、同社がタレントの所ジョージさんから、所さんがアメリカ車をベースにデザインしたチョロQポンコチックシリーズをモデルにする許可をとり、同塾にとって夢のコラボレーションが実現した。
制作は昨年12月から始まり、造形師が同シリーズの「ポンイチ」「ポンサン」の形の型を作って生地を成型。素焼き、本焼きをした後、作家3人が絵を描き、色を塗って、また2回以上、窯で焼くという通常の九谷焼と全く同じ工程で車体を仕上げた。最後に、同社提供の車台を組み合わせ、「九谷焼チョロQ」を完成させた。1台が出来上がるまでに2カ月程度かかったという。
絵柄は、鶴の群れや桜、波、松竹梅、唐草など伝統的なものばかりで、それぞれ九谷五彩や金で描いている。
北村さんは「これまでに絵付けをしたことのない形状なので、どう描けばバランスが良く見えるか悩んだ」と制作の苦労を振り返る。大きさは、長さ5.1センチ、幅3.2センチ、高さ3センチ。ゼンマイまたはリモコンで走らせることができる。非売品だが、車体部分の価格は2万5,000円~3万5,000円。
7月15日から18日まで東京ビッグサイトで開催された「東京おもちゃショー2010」では30台すべてが同社のブースに並べられ、来場したバイヤーやマスコミの注目を集めたという。
同塾では8月8日から小松市内で開催される「五彩フェスタ in こまつ」で披露した後、同社と所さんに5台ずつ寄贈し、残った20台は九谷焼のPR用に利用する予定。チョロQで初めて九谷焼を目にした人が、いずれ陶器にも興味を持つようになってくれることを期待している。九谷焼の車体は、希望があれば同塾のホームページからオリジナル品の注文を受け付ける。ただし、同塾では車台は販売しない。
北村さんは「この小さなボディーに九谷焼の仕事を惜しみなくした。予想以上の出来」と満足そうな様子をみせる。