
提供:トーケン 制作:金沢経済新聞編集部
トーケン(金沢市入江3)は、1970(昭和45)年創業の石川県を代表する総合建設会社。直近のグループ売上高は147億円を超える。病院、美術館、学校といった公共建築のほか、企業の社屋や工場、ホテルや店舗などの商業施設、マンションなど、県内を中心とした建築の企画・設計・施工を行う建設事業を主軸とする企業だ。
同社は工事を請け負うだけの建設会社ではなく、自らを「建設総合サービス業」と位置付ける。企画や開発の専門チームを持ち、顧客の課題を聞きながら、幅広い視点で資産価値を創出する提案を行っている。土地オーナーに向けて不動産活用の提案や開発のコンサルティングを行ったり、建設したマンションの管理を行ったりと、建てるだけ、建てて終わりではなく、建てる前や建てた後のことを含めて顧客の課題に向き合い、ワンストップでサービス事業を行っている。
小松市営川辺町住宅建替事業(写真提供=トーケン)
建設以外にも、屋上緑化や壁面緑化といったグリーン事業など環境関連事業を行うほか、植栽インテリア商品の生産を通した「障がい者就労支援」や高齢者介護施設の紹介など、社会福祉事業をも展開する。同社が掲げるのは「地域スーパーゼネコン」。地域密着の事業を、幅広い専門性と技術力で展開していくという意気込みを表している。
「植彩インテリアBuddy(バディ)」(写真提供=トーケン)
同社の主軸である建設事業では、主に営業、設計、施工の3部署が連携して事業を推進している。その中で今回、施工の中核を支えている若手に話を聞く機会を得た。
工務管理本部・主任の前田健汰さんは入社7年目。地元の金沢工業大学の建築学科を卒業し、何と現在は同大キャンパス内の新校舎建設に従事している。
現場事務所でプロジェクトを解説する前田健汰さん
前田さんの担当する施工管理は、建設工事を計画通りに完成させるための「現場の司令塔」的な仕事で、工程管理、品質管理、安全管理、原価管理が主な役割。前田さんは入社後3年の実務経験と受験によって一級建築施工管理技士の国家資格を取得した。施工現場の責任者に欠かせない資格。現場では協力企業の職人への指示、調整を行いながら、発注者、設計者、行政などとのやり取りも担っている。
前田さんは入社してから参加したプロジェクトは今回で8件目。いずれも大きなプロジェクトで、特に金沢美術工芸大学の6棟に及ぶ新キャンパスの施工は、JV(ジョイントベンチャー)での工事だったという。「現場では工程ごとにさまざまな協力企業の職人さんが作業にあたる。特に大規模建築は土木や鉄骨、電機や配管、床や内装など、工程によって入れ代わり立ち代わり数多くの業種の作業が必要。通常1日100人くらいの職人さんが出入りするが、JVのプロジェクトだと500人くらいになった」と振り返る。「入社した頃は、目の前で行われている作業が全く理解できなかった。多くのことを職人さんから学んできた。奥が深く、面白い」と話す前田さん。新しい現場で知っている職人と再会することや、親しくなった職人と飲みに行くこともあるという。
現場にフル装備で立つ前田健汰さん
同社が推進しているのが、建築の設計・施工・管理に関わる情報を3Dモデルに統合して扱うBIM(Building Information Modeling)と呼ばれるデジタルシステムだ。設計部門では構造や設備の整合性を確認して干渉チェックや数量算出などの精度向上を図り、施工部門では仕様やコストの情報を連携させて進捗(しんちょく)や資材の管理に活用している。このシステムの導入によって、関係者間の情報共有が円滑になり、工期短縮と品質向上、そして省力化が進んだという。
「BIMなどのデジタル化によって大きく施工の仕事も変わってきている。その分、施主や設計、現場の職人など、人との直接のコミュニケーションが一層大切になると感じる。それぞれの思いや考えを受け取り、品質、コスト、リスクなどを総合的に判断した上で、説明したり具体的な指示をしたりすることが重要な役割になっている」と話す。
BIMを操作する前田健汰さん
前田さんが建設の道に進んだのは、建築関係の仕事をしていた父親の影響があるという。「自分も子どもの頃から物作りが好きだったこともあり、建築学科に進んだ。今は大きな物作りをしている。現場には施工の最初から最後までいる立場なので、何もないところから建築が建ち上がるまでを体感できる。将来はさらに大きなプロジェクトを任せてもらえるような立場で仕事がしたい。大勢の人が集う公共建築は特にやりがいを感じる。建てた建築の価値を多くの人に体感してもらいたいし、それによって自分の仕事を誇りに感じるだろう」と話す。
同社には「トーケンアカデミー」と呼ぶ新入社員研修の制度がある。入社から現場配属までの約5カ月、業務の流れを知る座学や協力企業から専門的なレクチャー、先輩の話や各職場の紹介、現場研修などを行う。社会人としての処世訓や新しい環境に適応するための基礎をつくるだけではなく、企業の価値観やビジョンを理解してもらおうと2020年に導入し、社員の成長実感が向上して離職率も大幅に減る効果があった。前田さんはアカデミー1期生で、同期の6人とは今でも仲が良いという。
建設現場で免震工事の研修を受ける様子(写真提供=トーケン)
同社は健康経営にも力を入れ、2020年には働きやすい職場に授与される石川県経営者協会主催の「第1回かがやきカンパニー大賞」、2024年には人を大切にする経営学会主催の「日本でいちばん大切にしたい会社大賞中小企業庁長官賞」、今年は経産省の「健康経営優良法人中小規模法人部門ブライト500」を6年連続で受賞している。
近年の建設現場の仕事に昔の3Kのイメージはもうない。業務のデジタル化が進み、現場にある仮設事務所やトイレなどの施設もきれいで快適だ。前田さんも「現場事務所に直行直帰するワークスタイル。1年ほどで現場が変わるのでその都度新しい現場事務所に配属されて気持ちもリフレッシュされる。最新の現場を見に来てほしい」と話す。結婚して子どもにも恵まれ、家庭生活と仕事を両立している前田さん。「週休2日で勤務時間も本社勤務とほとんど変わらない。休日には友人たちと集まって和気あいあいと過ごすのが好き」とプライベートも充実しているようだ。
地域に密着した事業を次々と展開しているトーケン。その原動力には、社員が持つ能力を発揮しやすいように設計された仕組みと戦略があった。