一般社団法人RCF(以下、RCF)は、大和ハウス工業株式会社が運営している大和ハウスグループ「エンドレス基金」※1を通じた従業員の皆さまの寄付を活用し、令和6年9月に発生した奥能登豪雨での官民連携の諸事例について、レポートを執筆しました。
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※1 大和ハウスグループでは、社会的課題解決に取り組む団体を支援しています。その方法の一つとして、従業員がイントラネット上で簡単に募金を行えるシステムを構築しています。この活動は従業員にとって気軽に参加できる社会貢献活動として広く推進しており、従業員の募金意識が向上することで、より多くの支援ができるよう継続して取り組んでいます。詳細はこちら
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レポート執筆の背景
令和6年9月の奥能登豪雨災害では、発災直後から、石川県および(公財)石川県県民ボランティアセンター(以下、県ボラ)、社会福祉協議会(以下、社協)、災害支援を行うNPO・NGO、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(以下、JVOAD)等が連携し、災害対応を進めました。その災害対応の中で、官民連携の取り組みが生まれ、現地の課題解決に向けた取り組みが進みました。
本レポートは、その災害対応の具体的な対応と成果、対応後に残った課題について明らかにし、今後の石川県および全国での災害対応における教訓を提示することを目的としています。
レポート概要
■官民連携の対応の概要
・現場の声を直接聞くために、発災直後に副知事主導で、社協・NPO等が参加し、県庁を含めた情報交換を行うオンライン会議(以下、「オンライン朝会」)が設けられた
・オンライン朝会で上がった現場のニーズは、副知事の下で設立された「特命チーム」が、県の担当部局に対応を割り振り、その対応状況を毎日確認し、国や市町の関係部署とも調整しながら、問題解決を進めた
・オンライン朝会での現場からの提案を踏まえた、特命チームによる県庁や関係省庁、さらには市町担当部局との調整が強い推進力となり、堆積土砂撤去を効率化する新スキーム創設や震災と豪雨の二重罹災の判定の仕組みの確立等災害対応の仕組みが構築された
・特命チームでは、災害NPOや地縁団体等の民間団体との信頼関係をの構築を重視し、現場からの要望に対し最善を尽くして調整し、調整できない点については現場に説明して理解を求め、県が現場に何度も足を運ぶことを意識していた
・民間団体も震災後の対応の中で、行政との信頼関係を構築したことで、官民での協力が促され、市からの要望を県が調整し、民間団体から市災害ボランティアセンターへ常駐スタッフが派遣された
■今後の教訓
・オンライン朝会や、その調整に特命チームが果たした機能を今回限りの事例にせず、今後の災害でも再現性・持続可能性のある公式な仕組みとして現場の団体から直接声を聞く機会を設け、行政内部にて部署横断で調整する役割を設けるべき
・奥能登豪雨の9カ月前に発災した能登半島地震を契機とした官民での信頼関係があったからこそ、豪雨災害後の官民連携が進んだ。このことに鑑み、官民が防災等で平時から協力することや国が信頼できる民間団体のホワイトリストを作成し、災害時に行政が民間に対応を依頼しやすい仕組みを作り、普段から動かしつづけることが、災害時の連携に繋がる
・民間ボランティアセンターの人件費が出ていないことや、災害NPO等が活用する重機の貸し付けスキームや、移動手段としての自動車にかかる諸経費等、災害救助費の支出の在り方にも課題が残る。専門職として持続的な活動を行えるよう、民間活動費用に公的支援を導入すべき
■インタビュー協力者
行政関係者
・石川県 浅野大介副知事
・石川県能登半島地震復旧・復興推進部創造的復興推進課長※2・佐藤晋太郎様
・(公財)石川県県民ボランティアセンター専務理事兼事務局長※2・針木江津子様
※2025年3月31日時点の役職
民間団体関係者
・町野復興プロジェクト実行委員会委員長・山下祐介様
・災害NGO結代表・前原土武様
・公益社団法人ピースボート災害支援センター・辛嶋友香里様
※取材・文/中道侑希、那須あさみ、竹田りな 構成/佐藤友美 撮影/上田修司
■インタビュー記事掲載
今回実施した行政関係者・民間関係者のインタビューに関して、一部、「CORECOLOR(コレカラ)」にて記事を掲載
・NGOと自治体の「顔の見える関係性」が災害時に効く。「次世代が災害支援を生業にできるように」考える仕組みづくり【能登のいま/第22回】
・行政に伴走して被災地支援を行うNPO。「能登の震災と豪雨で、今まで以上に官民連携の重要性を感じた」ピースボート災害支援センター・辛嶋友香里さん【能登のいま/第23回】
■本件に関するお問い合わせ先
一般社団法人RCF
TEL:03-6265-0164
担当:若田