石川県観光交流局は能登を舞台にしたストーリー漫画「能登浪漫(ろまん)紀行」を発行し、4月16日から小松・能登両空港や金沢駅観光情報センター、県内の道の駅、東京・大阪・名古屋のアンテナショップなどで無料配布を始めた。
「能登浪漫紀行」は羽咋市出身で、東京都在住の漫画家、坂本祥世さんの作品。坂本さんは同局が主催した昨年度の「第1回石川まんがコンテスト」大賞受賞者で、副賞として、能登を題材にした漫画の出版の権利を得た。
編集者の卵であるヒロインが、覆面小説家を探すために能登を訪れ、風物やそこに暮らす人たちの魅力に触れるというストーリーの同作品。制作に先駆け、同局が坂本さんに能登についての情報を提供し、坂本さんは昨年8月、2泊3日の日程で輪島市の輪島大祭や千枚田、珠洲市の珠洲焼の窯(かま)、見附島、能登丼、七尾市の一本杉通りなどを取材し、住民らから話を聞いた。漫画の中には、坂本さんがこの取材旅行中に出会った実在の町会長や陶工も登場し、ストーリーに奥行きを与えている。
巻末には、ヒロインが訪れた場所や祭り、伝統工芸などの観光情報を掲載し、7月から始まる「能登ふるさと博」もPRしている。制作には、能登半島地震の復興基金を一部利用した。A5判カラー刷40ページで、発行部数は2万部。
同局交流政策課の交流企画グループリーダー鈴木繁浩さんは「漫画は親しみやすいので、観光パンフレットよりも、いろいろな世代の方に手に取ってもらえるのでは。最近は若者の旅離れが進んでいると聞く。若い人にも見てもらいたい」と期待を込める。