たくましく生きる子どもを描いた映画を特集上映-金沢のシネモンド

子どもをテーマにした特集で上映されている「大きな家」と「風のかたち」の一場面

子どもをテーマにした特集で上映されている「大きな家」と「風のかたち」の一場面

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 ミニシアター「シネモンド」(金沢市香林坊2 KOHRINBO109 4階、TEL 076-220-5007)で11月7日、子どもたちを描いたドキュメンタリー映画を集めた特集上映「こどものかたち」が始まった。

映画「風のかたち」について語る伊勢真一監督

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 上映作品は「風のかたち」(伊勢真一監督)、幼い子どもたちが自然に育まれて成長していく7年間を撮影した「大きな家~タイマグラの森の子どもたち~」(澄川嘉彦監督)、フィリピンで家族のためにごみ拾いで生計を立てる子どもたちの姿をとらえた「BASURA」(四ノ宮浩監督)、ケニアの路上でしたたかに生きるストリート・チルドレンを追った「チョコラ!」(小林茂監督)の4作品。いずれの作品も、困難な状況の中でたくましく懸命に生きる子どもたちや、自然の中で過ごす少年少女の生き生きとした表情を描く。

 「風のかたち」は、小児科医で聖路加国際病院副院長の細谷亮太さんら3人の医師と小児がん患者や元患者らが参加するサマーキャンプを10年にわたって定点観測的に記録した作品。小児がんや病気にまつわる誤解・偏見を受け止め、仲間と支え合いしなやかに生きていく小さな患者たちをキャンプ地の自然や医療現場、子どもたちを見守り続ける細谷さんの姿などを織り交ぜて描き、10月には「第7回文化庁映画賞」を受賞した。10年の歳月の中で看護師や母親になる夢をかなえた女性や「学校の先生になって命の大切さを子どもたちに伝えたい」との願いを抱いたまま他界した患者も登場する。

 撮影を開始した当初は、小児がんがもはや不治の病ではなく、患者の7~8割が治るようになっている病気であることを知らなかったという同監督。彼らを追い続けた10年間で撮影した全記録は約600時間に及ぶという。

 同監督は「ドキュメンタリー映画を撮るのは、自分が何かのメッセージを送るというよりも、対象である人や自然が何かを語り始めるのを待つ仕事。特に命のことは時間をかけないと見えてこないというのは間違いない。物が語りかけることにカメラを向ければ、それが物語になる」と話し、「見ている人が目を凝らし、耳を澄まし、それに感応できるのが映画の魅力」と同監督。「子どもたちがいろいろなかたちで人間という動物に本来備わっている再生する力を見せてくれ、確認させてくれた」と10年間を振り返り、「風は温度差が違うところに起きる。自分には関係ないと思っている人たちにこそ見てほしい」と訴える。

 上映プログラムはサイトで確認できる。11月20日まで。

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