「新世界秩序サバイバルガイド」と銘打ち、新たな時代の構築を目指すメッセージを込めた作品を集めた「カナザワ映画祭2009」が9月19~25日、金沢市内で開催される。日本初公開作品や一般公開されていない貴重作の上映、音響にこだわった「爆音上映」、トークショーなど盛りだくさんの内容で金沢の秋を彩る。
主催は「かなざわ映画の会」。実話をテーマに社会問題や世の中の不条理、不正を扱った作品を上映した昨年9月の同映画祭以降、世界が不況に陥った。同会代表の小野寺生哉さんは「昨年は『フィルマゲドン』と題し、ある意味でネガティブな作品をそろえたが、今年は破壊の後の創造をイメージし、混迷する時代をサバイバルするヒントが得られるような前向きな作品を集めた。作品ごとの主義主張は異なり、その間には対立関係もあるが、いずれも固い決意をもって世の中を変えようという肯定的な側面を持っていることに注目し、上映作品として選んだ」と話す。
作品のジャンルはSF、伝記、宗教、ドキュメンタリー、アニメーションなど多岐にわたる。金沢21世紀美術館「シアター21」(金沢市広坂1)では、音楽ライブ用の音響セッティングを使う「爆音上映」を行い、「2001年宇宙の旅」(1968年、アメリカ)、「地獄の黙示録 特別完全版」(1979年、アメリカ)などを大音響で上映する。
宗教関係では、往年のスターが登場する「釈迦」(1961年、日本)や古代から存在した宗教集団のドキュメンタリー「エッセネ派」(1972年、アメリカ)のほか、一般公開されていないが破格の製作費をかけ、トップレベルのスタッフが脚本や音楽、特撮などを担当し、有名俳優たちが出演する新興宗教の作品などを上映する。
ほかに、同映画祭のために新たに日本語字幕を作成した啓蒙映画「ツァイトガイスト」(2007年、アメリカ)とその続編、天安門事件20周年を記念してリバイバル上映する「天安門」(1995年、アメリカ)、ゲーム競技で大金を手に入れるプロゲーマーたちを描いた日本初公開作「FRAG」(2008年、アメリカ)などもラインアップしている。
会場は「シアター21」とシネモンド(香林坊2)のほか、初日の19日には中央公園(広坂2)で覆面野外上映も行われる。同日は、「シアター21」でサイレント映画「メトロポリス」(1927年、ドイツ)が生駒祐子さん、阿部海太郎さん、清水恒輔さんによる生演奏付きで上映。同21日にはラッパーの宇多丸さんとライターでグラフィックデザイナーの高橋ヨシキさんが新世界秩序について語るトークショーを開催する。
鑑賞券は、前売り=1,300円、当日=1,500円の「1回鑑賞券」の他に、「3回鑑賞券」「メトロポリス伴奏付上映鑑賞券」「宇多丸×高橋ヨシキ トーク券つき1回鑑賞券」を販売。同美術館ミュージアムショップ、シネモンドのほか、同会サイト内の注文フォームで取り扱っている。