石川県立自然史資料館(金沢市銚子町、TEL076-229-3450)で現在、企画展「守ってあげたい生き物たち~石川の希少野生動植物」が開催されている。法律や条例で特別に保護されている県の「希少野生動植物」21種類(国指定6種・県指定15種、動物13種類・植物8種類)を展示するもので、今年で4回目を迎える。
同展では環境の変化や悪化で激減した動植物の姿やそれらを取り巻く問題を、写真・映像・標本を通して「鳥類」「両生類」「魚類」「昆虫」「クモ類」「植物」の分野ごとに紹介。小さな動物をより分かりやすく解説するため、昆虫をリアルに再現した模型「イカリモンハンミョウ」「イソコモリグモ」などが子どもたちの人気を集めている。かつては国内で広く生息していた「イカリモンハンミョウ」は石川県が本州で唯一の生息地となり、地元有志やキッズレンジャーが熱心な保護活動を行っているという。「ゲンゴロウ」は全国的にも乱獲や用地開発などで激減しているが、中でも体長2センチ以上の大型は、きれいなため池やわき水湿地が多い能登に多数生息数するなどの解説も。
見どころはワシタカ類10種のはく製で、石川の「県の鳥」とされ翼を広げると約2メートルにもなる「イヌワシ」のほか「クマタカ」「オオタカ」「ライチョウ」などのはく製は実物さながらの迫力。植物コーナーでは「温暖化で白山の植物はどうなるか?」と問いかけ、気温が1.5度上昇すると高山帯が消滅し県の郷土の花「クロユリ」が消えることを警告している。現在の里山では湿地が減ったことから生態系に影響を及ぼしていることもパネルで解説する。
同館植物領域責任者の中野真理子さんは「県内各地から集めてきた標本の展示を通して、環境が変化する中で希少となった動植物について知ってもらいたい」と話す。
開館時間は9~17時。会期中無休。7月5日まで。