金沢湯涌夢二館でリトグラフ展-夢二とシャガールの作品31点公開

竹久夢二のリトグラフ作品

竹久夢二のリトグラフ作品

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 金沢湯涌夢二館(金沢市湯涌町、TEL 076-235-1112)で現在、竹久夢二とシャガールの色鮮やかなリトグラフ作品31点を展示した企画展「リトグラフのたのしみ」が開催されている。

企画展に併せて行われている木版画の公開制作の様子

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 18世紀末にドイツで発明され幕末に日本に伝わったリトグラフ(石版印刷)は、夢二もシャガールも制作に熱心に取り組み、印刷工房に足を運んでは仕上がりについて厳しく指示を繰り返したというエピソードを持つ。その技法にスポットを当てた同展では、ふたりの作品を通して「リトグラフの楽しみ」を紹介している。脂質と水の反発作用を利用した繊細な仕上がりは単なる「絵画のコピー」とは異なり、その作品からは両者が自由に創作を楽しむ様子がうかがえる。

 展示されているシャガールの作品は、旧約聖書に登場する12人の兄弟を描いた「エルサレムのためのステンドグラス」(1964年)で、教会のステンドグラスに描かれた絵を版画にしたもの。金沢市が所蔵する世界に75セットしかないシリーズを公開している。12点すべてを同時に観覧できる機会は珍しいという。夢二の作品は1920年前後に制作された「セノオ楽譜」の表紙絵を中心に商業広告作品など19点。

 同館・学芸員の山田優子さんは「画家としてだけではなく、版画家としての夢二の作品も紹介したい。シャガールの作品と比較することで、夢二の活動や作品の魅力を発見しリトグラフならではの細かい表情や質感を楽しんでほしい」と話す。

 併せて、木版リトグラフの公開制作も行われている。昨年の浅野川水害で、現在も立ち入りが不可となっている「金沢湯涌創作の森・版画工房」の林千賀子さんが出張工房として木版プレス機を用意し、水と油の反発作用による制作過程を実演する。来館者が夢二の「蘭燈」と「宵待草」などが色鮮やかに刷り上げられる工程に見入る姿が見られる。期間中、木版画の公開制作や体験講座も行う。

 開館時間は9時~17時30分。観覧料は、一般・大学生=300円、65歳以上=200円、高校生以下=無料。公開制作は2月8・15・22日(10時~16時)、体験講座は3月8・15・22日(10時~16時、体験料金=500円)。3月22日まで。

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