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「文化的景観」をテーマとしたトークイベント 金沢21美で

会場の様子(撮影=中川暁文、写真提供=金沢21世紀美術館)

会場の様子(撮影=中川暁文、写真提供=金沢21世紀美術館)

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 「文化的景観」をテーマとしたトークイベントが12月10日に金沢21世紀美術館で開催された。

奈良文化財研究所の惠谷浩子さん

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 同館では「フォーラムアール」と称してさまざまな分野の専門家をゲストに迎えて新しい視点や考え方を紹介し、参加者と共に少し先の未来を考える場づくりを目指している。今回のトークイベントは奈良文化財研究所景観研究室主任研究員の惠谷浩子さんをゲストに「地層と歴史は、勝手も許す。自然と人間との関係を守る法律、文化的景観とは?」というテーマで行われた。

 冒頭にイベントを企画した金沢21世紀美術館レジストラーの本橋仁さんから、市民の要望で川に橋を架けたために世界遺産を抹消されたドレスデンの事例の紹介があり、市民生活と景観をどう折り合いをつければよいのかという課題提起があった。

 惠谷さんからは、文化的景観とは「地域における人々の生活またはなりわいおよび当該地域の風土により形成された景観地」を意味し、中でも重要なものを「重要文化的景観」として72件が文化財保護法により保護対象となっているとの解説があった。金沢の都市域も「金沢の文化的景観 城下町の伝統と文化」として登録されているが、世界遺産とは異なり自然環境や生物の多様性を条件にしていないので認定できたという。

 続けて京都市岡崎地区の琵琶湖疏水流域に見られる庭園文化と生態系の関係や、福岡県八女市において茶葉や線香などの農家のなりわいがその地域の風土や植生と密接につながっている事例などの紹介があった。参加者からは金沢特有の課題についての質問などがあり、活発なディスカッションが行われた。

 最後に惠谷さんは「風景がどうあるべきかを考えることは、どう生きていくかを考えること」とした上で、「そこで生活している人がいる限り風景が変化していくことは当然のこと。重要なのは次のあり方を考えるときに、過去を振り返りながら何を大切にしていくかを議論することだ」と話した。

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