「源氏物語」の能で使われた装束と面-金沢能楽美術館で企画展

金沢能楽美術館で展示されている「源氏物語」能の装束と面

金沢能楽美術館で展示されている「源氏物語」能の装束と面

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 金沢能楽美術館(金沢市広坂)で現在、企画展「平安朝の物語と能の世界~源氏物語」が開催されている。今年は「源氏物語」が記録上で確認されて1000年となることから、全国で多く展覧会やイベントが開かれ注目を集めている。

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 同館では、現存する235曲の謡曲の中から、源氏能を題材とする「葵上(あおいのうえ)」「玉葛(たまかずら)」などの一場面を描いた図画や装束、面を展示。装束では唐織(からおり)された若い女性役のものや、金箔糸を織り込んだ少年の亡霊役のものなど6点が華やかな雅の世界を漂わせている。ハチマキにも似た鬘帯(かずらおび)の模様にも法則があり、金糸を使わない鱗紋(うろこもん)のものは般若(はんにゃ)役に使われていた。面(おもて)は5点、文献類は写本や版本が展示され、源氏物語の能の世界をさまざまな角度から楽しむことができる。

「源氏物語」は紫式部が平安中期の宮廷や貴族の生活を細かく描写した長編小説で、日本文学を代表する作品。前半は主人公の光源氏を藤壺・葵の上・紫の上など多くの才媛が取り巻く華やかな生涯が、後半には薫や匂宮と宇治の姫君との恋愛模様がつづられている。

 能の世界は謡の意味が分かれば味わいが格別なものになるといい、ストーリーだけでなく、演技、衣装など、さまざまな感性を用いることにより、多角度から楽しめる文化として伝えられてきた。同館学芸員の山内麻衣子さんは「源氏物語にまつわる装束や面などは、現代の感覚で見ても華やかで斬新。平安朝の雅な世界にふれてインパクトを感じてほしい」と話す。

 今月17日~来年2月1日にはテーマを「伊勢物語と古今和歌集」に変えて、引き続き関連する能の世界を紹介する。そのほか、同館では能を楽しむための「能楽解説講座」(12月21日、1月18日)や子どもが能にチャレンジする「加賀宝生子ども塾」なども開催を予定する。

 開館時間は10時~18時。月曜休館。入館料は、一般=300円、65歳以上=200円、高校生以下=無料。今月14日まで。

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