新・石川県立図書館（金沢市小立野2）が7月16日、旧金沢大学工学部跡地に開館する。

【VRで読む】金沢・小立野に新・石川県立図書館　拡充の「こどもエリア」は面積10倍に

　新県立図書館のコンセプトは「思いもよらない本との出会いや体験によって、自分の人生の1ページをめくることができる場所」。本多町にあった旧県立図書館の約3倍となる約30万冊の本を開架でそろえる。敷地面積は約3万3000平方メートル。駐車場の収容台数は約400台。地上3階（一部4階）建ての建物の外観は、大型ガラスとパネルによって「本のページをめくる」ことを表現した。閲覧エリアは、劇場のように円形に広がる空間で、書架は同エリアを取り囲むように東西南北でテーマ分けして配置する。

　館内にはWi-Fiを備え、図書館では珍しく基本的に「おしゃべり自由」。閲覧エリアのほか、打ち合わせやリモートワークなどで自由に使える「ラーニングスペース」やキッチン付きの「食文化体験スペース」、3Dプリンターなどを備えた「モノづくり体験スペース」なども設ける。集中して本を読みたい人や勉強したい人には、音出し厳禁の「サイレントルーム」や1人席などを設け、目的に合わせて利用できるようにした。その他、1階にはカフェ「ハムアンドゴー」が出店している。

　中でも、従来の10倍の面積となる屋内外合わせて約2000平方メートルの「こどもエリア」は新図書館の目玉。書架を対象年齢別に緩やかにゾーニングし、さまざまな形状の家具や遊具なども備え、遊び場のような空間とした。本の持ち出しが自由の屋外スペース「おはなしの森」には、サツマイモ畑や砂場を設け、子どもたちが体を動かし、自然と触れ合いながら、さまざまな体験ができるようにした。

　本は1回当たり10冊を3週間以内で貸し出し、貸し出し中の本の予約などをホームページで行えるようにした。遠隔地サービスを事前に登録し金沢市外の県内在住者には、借りた本を県内の最寄りの公共図書館で返却するサービスも提供する。石川県文化振興課によると、7月2日から10日にかけての週末に開いた図書館利用者カードの事前登録会では5230人が登録したという。
　文化振興課の担当者は「行列ができる図書館を目指している。本を通じて、いろいろな体験をしてもらいたい。にぎわいあふれる図書館にしたい」と話す。

　開館時間は、閲覧エリア＝9時～19時（土曜・日曜・祝日は18時まで）、文化交流エリア＝9時～21時（同）。開館初日の16日は13時開館。月曜休館。

　開館特別展として、7月16日から「絵本でたどる ながいながい進化のはなし」を2階展示コーナーや1階屋内広場で開催する。進化や自然科学に関する絵本や図書のほか、恐竜の大型パネルや骨格標本、化石なども展示する。モノづくり体験などのイベントも開催する。11月25日まで。