今年6月に週1便で就航したばかりの金沢港と韓国・釜山港を結ぶ国際定期フェリーが、10月29日の便を最後にわずか4カ月余りで運行を休止した。
同フェリーは同港初の国際定期フェリーで、港の国際化や広域観光の推進による域内活性化が期待され今年6月に就航。地元自治体では、北陸3県と滋賀県の約200社を対象にポートセールスを行い、韓国の旅行会社に観光を売り込むなど後方支援に力を入れていた矢先の出来事。県は同港内の「金沢みなと会館」に6,290万円をかけて税関・出入国管理施設を整備し、8月に完成したばかりだった。
就航当初は乗客が1けたの便もあったが、10月に初めて200人を超え、徐々に旅客は増えていた。しかし、目標の「1便平均300人」を超えることはなく、これまでの乗客は計36便で約3,000人にとどまっていた。また、売り上げの6割を見込んでいた貨物利用も、1便の平均コンテナ数が17個(20フィートコンテナ換算)と低調に推移した。
わずか4カ月余りでの休止に、運航する「東日本フェリー」(北海道函館市)では、「燃油の高止まりと円高・ウォン安が重なった上、利用も当初見込みを下回るなど収支が悪化した。これほど急激に環境が悪化することは想定しておらず、いろいろ協力していただいた地元の皆さんには大変申し訳なく思っている」と話し、貨物集荷の見込みが立った時点での再開を目指す意向があるというが、先行きは不透明な状況が続きそうだ。