新型コロナウイルス感染拡大防止のため、酒蔵見学を休止している金沢の老舗酒蔵「福光屋」(金沢市石引、TEL 076-223-1173)は、見学者などに向け制作したショートフィルムをユーチューブに期間限定で公開している。
1990年代前半から始めた同社の酒蔵見学は、北陸新幹線金沢開業後は観光需要を見込み専任のバイリンガルスタッフ「酒蔵案内人」を置くなど、インバウンドへの対応にも力を入れてきた。蔵人(くらびと)による酒造りの解説、霊峰白山が源流の仕込み水「百年水」、酒母や醪(もろみ)、日本酒3種の試飲などに加え、同フィルムの上映を行う。
純米酒にこだわる老舗酒蔵を見学したいと訪れる人は、国内では首都圏を中心に全国から20~80代と幅広い。バイリンガルスタッフによる分かりやすい解説も好評で、学びや体験に興味を持つ外国人客にも人気が高いという。プログラムの一環として1日2回、同フィルムを上映してきた。
2018(平成30)年に完成した同フィルムのシナリオは、同社13代当主の福光松太郎社長が手掛け、その理念と純米酒の醸造工程を8分30秒にまとめたもの。菱川勢一さん(DRAWING AND MANUAL)を監督に、田植えから稲刈り、酒造りまでを2シーズンにわたり撮影し2年半をかけ仕上げた。ドローンを導入するほか、日本語・英語・フランス語・広東語・北京語の5カ国のナレーションと字幕を付けた。
同社企画広報室の岡本亜矢乃さんは「自然主義の酒造りの光景を、趣のある冬の金沢や美しい田園風景、情緒豊かな音楽と共にご覧いただければ」と話す。見学は9月1日から予約システムを導入し、空席状況の確認や予約までをスムーズに行えるよう準備する。動画の公開は9月30日まで。